1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460037
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 九州工業大学, 工学部, 助教授 (20112295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 浩 山口大学, 教育学部, 助教授 (10108269)
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Keywords | パターン形成 / 相乗雑音 / 確率過程 / 構造転移 / 電気流体力学的不安定性 / ネマチック液晶 / スケーリンク |
Research Abstract |
本年度は液晶の電気流体力学的不安定性(EHD)に伴なう構造の形成過程とその外部雑音効果(相乗雑音過程)の研究および沈殿構造形成過程に関する研究を行なった. 沈殿構造形成過程ではオユトクルドライプニングが非常に重要な役割を演じていることが明らかとなった. またEHDの構造形成では次のような諸点が明らかとなった. (1)対流パターン形成ではアスペクト比P(容器の横方向の長と厚さの比)が比較的小さい場合には, 電界を印加するとセルの両端より対流ロールが発生し,中心部に向って成長し, ある特性時間tmにて衝突する. これ以後はパターン選択が主役となる非線形領域となり,欠陥等の挙動が重要となる. (2)パターン選択領域では初期安定波数kcのパワースペクトル値がtmまで急速に増大し,それ以後減少する. それに替って非線形定常安定波数kmが急速に成長する. この時間はtmの約2倍で終了し,以後欠陥の運動が主役となる. (3)印加電圧の上昇とともにkcとkmの値が次々と変化し,孤立欠陥からペアの欠陥へと個数が変化し, 最終的には欠陥の消失しない領域に入っていく. この領域では欠陥の数は非周期的に変動し,そのスペクトルは1/f型となり,弱い乱流とみなされる. このとき欠陥の総数が偶数となる確率の方が大きく優勢で各々ペアとなりやすい. HEDでの相乗雑音過程については次のような結果が得られた. (1)相関時間Tnの短かい外部雑音を印加すると対流不安定性の閾値が上昇する. しかし系の特性時間Tcに近い, あるいはTcより長いTnの雑音を印加すると雑音は周期電圧と協同的に働き対流不安定性の閾値は減少する. (2)雑音電圧が上昇すると最初に生じる不安定性が異なり,対流構造が大きく変化する. 同時に雑音依存性が大きく変化した. これらは外部誘起型の構造転移の特徴と考えられる. これらに対する動的挙動の研究, すなわち雑音印加時のパターン形成過程の研究は今後の問題として残った.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.KAI: Physical Review A. 35. 1438-1440 (1987)
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[Publications] S.KAI: Journal of the physical Society of Japan. 56. 3759-3762 (1987)
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[Publications] 甲斐昌一: 電気学会論文誌(シナジエティクス特集). 107-c. 1011-1018 (1987)
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[Publications] 甲斐昌一: 電気学会論文誌(システム部門). 108-c. 71-78 (1988)