1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460043
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
川田 邦夫 富山大学, 理学部, 助手 (20019003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 武彦 富山大学, 教養部, 教授 (80019257)
船木 實 国立極地研究所, 資料系, 助手 (10132713)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助手 (30134993)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
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Keywords | 火山灰を含む雪氷 / 磁性粒子 / 雪粒子 / 自然残留磁化の獲得 / 地球磁場 |
Research Abstract |
今年度は昨年に続いた雪氷中に無方位に分散した磁性物質が時間と共に外部磁場の方向に配向していく過程を、より詳しく実験室で調べ、更に北アルプス立山の内蔵助雪渓で採取した雪氷資料の中、汚れの多い部位について磁化の強度と方位等を調べた。実験室では雪粒子および磁性粒子の粉末をそれぞれ大きいものと小さいものにわけ、組み合せを替えたものを初期試料として実験した。磁化測定は試料を保持している低温室から5mの位置に置いてある超伝導磁力計を使用し、試料に温度変化の影響が出ないよう配慮した。保持の温度条件に違いをもたせ、各々時間の経過につれて磁場方向に配向していく様子を磁化測定と同時に試料の薄片を作って顕微鏡観察を行った。その結果、磁性粒子を含む雪氷の磁場方向への磁化獲得の機構は雪氷の変態に伴って磁性粒子がある時期に自由度を持つことがわかり、その過程で磁場方向に向くと考えた。 1.乾雪の場合、雪粒子の結合が丈夫になっていく過程では焼結による変態が進むが、最初無方位に弱く付着していた磁性粒子は水分子が雪粒のくびれ等に移動するに伴い、雪粒から離れて移動し、安定な位置に集合気味に固定され、磁場方向への配向が高まることが、顕微鏡観察によって明らかになった。しもざらめ化する場合も同様と考えられる。 2.湿雪の場合、ざらめゆきへの変態となるが、雪粒子表面にある水膜によって磁性粒子は容易に自由度を得る。そして雪粒同士の結合部や凹部に強く集合した状態で、磁場方向に配向気味に固定される。 野外で採取した試料はある程度長い年代を持つ氷で、火山灰を含むと考えられる汚れの強い層について調べた。その結果、現段階では地球磁場との方位関係は明確ではないが、磁化の集中化が現われており、試料の採取方位がはっきりすれば、氷体の流動の向きや年代推定にも寄与できるものと思う。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hideo,SAKAI: Proceedings of the NIPR Symposium on Polar Meteorology and Glaciology. No.1. 140-145 (1987)
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[Publications] Takehiko,KOBAYASHI: Proceedings of Kagoshima International Conference on Volcanoes 1988. 514-517 (1988)
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[Publications] 川田邦夫: Contributions to Mountain Sciences. (1989)