1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 豊 東京大学, 理学部, 教授 (80011493)
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Keywords | 南極海流 / 海洋フロント / 昭和基地 / 海況の経年変化 / 海水位の季節変化 / 海水位の経年変化 / 冬季の水位上昇 / 海氷 |
Research Abstract |
世界の各大洋を結ぶ接点である南極環海は、地球の気候システムの一環としての海洋を理解する上で、最も重要な海洋であり1990年から実施されよしとている国際プロジェクト・世界海洋実験計画でも非常な重点が置かれている。我が国の南極観測の一環として、昭和基地への往復時に海洋観測が実施されており、また昭和基地においては連続的な潮位観測が実施されている。いずれの資料もすでに20年を越す蓄積があるが、これらの資料について十分な解析が行われていなかった。1年次・2年次に、南極還流の構造とその経年変化・季節変化を、「しらせ」等の砕氷船による昭和基地への往復時における資料をもとにして調べることに重点をおいてきたが、経年変化と見なされそうな変動が、船のコ-スの年による変化、あるいはフロントの微細構造の変化として解釈すべき事例が幾つも見つかり、海洋観測のみでは十分な結論が得られないことが分かったので、連続的な記録のある昭和基地における水位記録の解析と、南極域の海氷面積の季節・経年変化についても解析を進め、それぞれの経年変化の代表性調べることを試みた。しかし、実際には、水位記録には顕著な経年変動が認められるが、それ以上に、中緯度地方の場合とは全く逆に、水位が冬季に上昇するという意外な事実に見いだされ、その解釈・検討に時間を費やす結果となった。この水位変化の原因は海洋内部に求めざるを得ない。低温の極域では塩分の効果が、海水密度より顕著に効いてくる。基地周辺の冬季を含む海洋観測資料などから、冬季に比較的塩分の薄い表面混合層の厚さが発達するとすれば、この変化は可能性はある。また海氷面積の季節変化に、径度別に非常に局地的特性がウェッデル海を中心に示された。しかし、これらの現象の経年変化の相互の関係については、十分な解明に成功したとは言えず、今後の研究に持ち越さざるを得なかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Matsuno and Y.Nagata: "Numerical Study of the Behavior of Heated Water Discharged into the Ocean" J.Oceanogr Soc.Japan. 45(1). 33-44 (1989)
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[Publications] 永田豊: "国際WOCE科学会議の報告" 海洋. 21(7). 443-446 (1989)
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[Publications] 申弘烈,永田豊: "1987年9月における三陸沖暖水塊(86-B)の微細構造と水型分布" 海洋. 21(11). 652-661 (1989)
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[Publications] H.-R.Shin,Y.Nagata and J.Yoshida: "Detailed Structure and Water Type Distribution of the Warm-Core Ring 86-B,September 1987" Deep-Sea Research. (1990)
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[Publications] 楊城基,永田豊: "日本近海における中層水の分布特性" 海と空. (1990)
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[Publications] 楊城基,永田豊,平啓介,川辺正樹: "房総半島東岸沿いに南下する中層親潮水" 海洋. (1990)