1987 Fiscal Year Annual Research Report
CaOーMgOーAl_2O_3ーCr_2O_3ーSiO_2系の高温高圧下における相関係
Project/Area Number |
62460055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大沼 晃助 東北大学, 理学部, 教授 (50000865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 宏和 東北大学, 理学部, 助手 (90133933)
吉田 武義 東北大学, 理学部, 助手 (80004505)
青木 謙一郎 東北大学, 理学部, 教授 (00004276)
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Keywords | 岩石学的モデル系 / クロム / スピネル・レールゾライト / マントル / 部分熔融 |
Research Abstract |
62年度においては,課題とした系に属するもののうち岩石学的モデル系として最も重要な系であるMg_2SiO_4(フォルステライト)ーCaAl_2Si_2O_8(灰長石)ーCaMgSi_2O_6(透輝石系)ーSiO_2系の常圧下における相関係におよぼすCr_2O_3の影響を検討した. Cr_2O_3を0.24wt%加えた場合の相関係は,クロムを含まない場合に比べて次のような相違がある. スピネルの初相域が拡大し,灰長石の初相域は減少する. この結果リキダスにおいてはフォルステライトと灰長石は共存しなくなる. また次の2つの不変点が確認された. (1)フォルステライト+プロトエンスタタイト+透輝石+スピネル+液,(2)灰長石+プチトエンスタタイト+透輝石+トリディマイト+液である. (1)の組合せはスピネル・レールゾライトに相当するが,この組合せはクロムを含まない系では常圧では不安定である. 常圧でこれに相当する不変点の組合せは 斜長石レールゾライトである. 従来このクロムを含まない系の不変点の位置は不正確であったが,今回の研究においてはこの位置も精密に決定した. 一般に,斜長石レールゾライトからスピネル・レールゾライトへの転移はクロムを含まない系においては8kbarとされている. 今回得られた結果はマグマ中に少量のクロムが存在すれば,この転移圧力はかなり低くなると考えられ,今後はこの問題について検討する予定である. 今回得られた結果のもう一つの重要な局面は,クロムの量によって不変点の位置が移動することである. このことは,マントル(スピネル・レールゾライト)の部分熔融によって発生する液(マグマ)の組成がクロムの量に左右されることを示唆しており,岩石学的に重要な問題を提起している.
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Research Products
(1 results)