1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460065
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
薮崎 努 京都大学, 理学部, 助教授 (60026127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 正雄 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (70115830)
|
Keywords | 光双安定性 / 2次元記憶 / 対称性の破れ / スピン偏極 |
Research Abstract |
光双安定な光記憶やスイッチ等の応用面からのみならず非平衝系における相転移, カオスといった基礎物理の観点からも興味深く, 近年世界的に盛んに研究されている. 我々は原子のスピン偏極に基づく新しい型の光双安定性三重安定性を提案し研究を行ってきた. これらは従来のものとは異り, 対称性の破れを伴い外部から角運動量を原子に与えなくても一種の正帰還によりスピンが偏極されるといった新しい現象を示すものである. 本研究の目的はこの対称性の破れを伴う双安定性に関連する自励発振等の新現象を研究するとともに, この方面の研究を更に発展させ, 互いに結合している多くの双安定系に対し系全体としての振舞いを理論的, 実験的に研究することである. 本年度は, まず光双安定系に横磁場を加え, 対称性の破れで生じた磁気モーメントの歳差運動により生じる自励発振現象の実験をナトリウム原子を用いて行った. その結果, 理論から予想された通りに, 歳差運動と同期して帰還光の偏光がスイッチングを生じ, 磁気モーメントが定常的に回転する現象を実現することができた. 更に, 原子に同時に2つのレーザービームを与え, 2つの双安定系が原子の拡散や光自体で結合した系を考え, 理論的実験的研究を行った. このような結合系で入射光強度を増加していくと, まずそれぞれのスピンが平行に作られる分岐が生じるが, 更に入射光強度を増すと, 反平行にスピン偏極が作られる新たな分岐が場じることが理論的に求められたが, ナトリウムを用いた実験でも定量的にも良い一致を示す結果が得られた. このような考えを更に推し進め, 原子の封入された吸収セルに, 平面的に広げられたシート状の光を与え, 空間的に連続的に分布する結合双安定系の振舞いの研究を行った. その結果, 強磁性体における磁区と類似した, 協同現象を呈する最小区間が存在することが明らかになった. これらの結果は国際会議で報告する予定をしている.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 薮崎努: 光学. 16. 242-247 (1987)
-
[Publications] 薮崎努;北野正雄: 応用物理. 56. 1365-1366 (1987)
-
[Publications] T.Sekiya;M.Kitano;T.Yabuzaki;T.Ogawa: Jpn.J.Appl.Phys.27. 18-244 (1988)
-
[Publications] T.Yabuzaki;M.Kitano: "Recent Progress in Frequency Stabilization of Diode Laser〔Proceedings of International Laser Science Conference〕" アメリカ物理学会, 6 (1988)