1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
角 誠之助 九州大学, 工学部, 教授 (10037947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 良夫 九州大学, 応用力学研究所, 講師 (80180842)
山崎 正秀 九州大学, 工学部, 助手 (00038085)
室園 昌彦 九州大学, 工学部, 講師 (10190943)
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Keywords | 人工衛星 / 薄肉ブ-ム / 構造動力学 / 熱弾性 / 熱誘起振動 / 自励振動 / 安定性解析 |
Research Abstract |
先端に集中質量を有する薄肉円形閉断面ブ-ムが、一様なふく射加熱を受ける場合に発生する熱誘起曲げ振動について、真空中で行った実験と、地上での実験に対応する解析との両面から、その発生機構を明らかにした。外来照射量がたわみに線形的に依存するとし、さらに重力の影響も考慮した解析を行い、系の挙動は外来照射量やブ-ムの細長比に比例するパラメ-タ、振動系と熱系との特性時間の比、熱入力のたわみへの依存の程度を表す量、系自体の有する減衰比、および重力の影響を表するパラメ-タの合計五つの無次元量に依存することを示した。さらに静たわみ位置まわりでの微小振動に関する安定条件式を求め、それぞれの無次元パラメ-タが系の安定性に及ぼす影響を明らかにした。次に実験では、まず板厚が80μmあるいは90μmの薄いステンレス鋼製のブ-ム供試体と、ふく射加熱源としての赤外線ランプからなる装置一式を収納できる高さ1400mm程度の大型真空槽を製作した。これによって従来測定が困難であった振動にともなう供試体表面での微小な温度変動を、空気の対流によるじょう乱の影響なしに精度よく測定することが可能となった。熱誘起自励曲げ振動を発生させ、先端たわみ応答と表面の温度変動の応答を測定し、系の安定性を支配する各種の量の中から特に外来照射量と、熱系・振動系の特性時間比に注目して結果を整理した。その結果、自励振動が発生するか否かの安定限界については理論と良好な一致を示した。また、たわみ応答と、加熱側と非加熱側との温度差に基づく非定常熱曲げモ-メントとの位相差を測定し、先端たわみ応答に比べてほぼπ/2だけ遅れた位相をもつ熱曲げモ-メントが励振力となって振動を成長させることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 角誠之助: "薄肉ブ-ムの熱誘起曲げ振動に関する実験的検証" 第31回構造強度に関する講演会講演集. 144-147 (1989)
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[Publications] Masahiko Murozono: "Thermally Induced Bending Vibration of Thin-Walled Boom with Closed Section Caused by Radiant Heating" Memoirs of the Faculty of Engineering,Kyushu University. 49. 273-290 (1989)
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[Publications] 角誠之助: "先端質量を有する薄肉ブ-ムの熱誘起曲げ振動ー地上での実験に対応した解析ー" 九州大学工学集報. 63. 63-70 (1990)
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[Publications] 角誠之助: "薄肉閉断面ブ-ムの放射加熱による熱誘起曲げ振動" 日本機械学会論文集(C編). 56. 300-307 (1990)
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[Publications] 角誠之助: "先端質量を有する薄肉ブ-ムの熱誘起曲げ振動ー大気中の実験による検証ー" 九州大学工学集報. 63. (1990)
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[Publications] 室園昌彦: "先端質量を有する薄肉ブ-ムの熱誘起曲げ振動(実験による検証)" 第5回宇宙構造物シンポジウム講演集. (1990)