1987 Fiscal Year Annual Research Report
静機械的特性に基づく繰返し応力ーひずみ曲線の導出とそれによる耐疲労設計手法の開発
Project/Area Number |
62460079
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
幡中 憲治 山口大学, 工学部, 教授 (60026193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 壽 宇部工業高等専門学校, 助手 (10043887)
藤満 達朗 山口大学, 工学部, 助手 (70035062)
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Keywords | 繰返し応力ーひずみ曲線 / 繰返し硬化 / 繰返し軟化 / 転位 / 数値シミュレーション / CoffinーManson則 |
Research Abstract |
本研究課題を達成するための基礎研究として, 静引張試験より得られた力学的諸量を用いて, 商業用純銅の繰返し硬化挙動, すなわち, 繰返し数の増加に伴う応力ーひずみヒステリシスループの変化を数値計算による求めることを試みた. 得られた主な結果は次のように取りまとめられる. (1) 応力緩和法による測定された内部応力をJohnstonーGilmanの式に導入することによる新たに応力ーひずみ曲線を記述できる構成式を開発した. (2) 静的引張試験と応力緩和試験を実施することにより, (1)項で与えられた構成式中に含まれる諸材料定数を決定した. そして, これまでの研究結果を参照して, 繰返し硬化が飽和した段階において材料が有する総転位密度は焼鈍材のそれの100倍になるという仮定を設けた. (3)転位の増殖を考慮しつつ, (1)項の構成式を半サイクル毎に数値積分することによる繰返し数の増加に伴う応力ーひずみヒステリシスループを計算により求めた. その結果, 繰返し変形過程初期におけるヒステリシスループの応力幅Δσの計算結果は, 試験結果との間に若干差異を生じるものの, 硬化が飽和に至った段階では両者はよく一致するこがわかった. したがって, 本解析手法を用いれば, 静的機械的性質のみを用いて, 銅の繰返し応力ーひずみ曲線を計算により推定することが可能である. (4)計算による得られたヒステリシスループ形状は, 制御されるひずみ幅Δε_tが大きくなる程, 試験結果に比して矩形化する傾向にあった. しかし, この問題は内部応力の評価式中に含まれる定数のうちの一つを調整することにより解消されることがわかった. これより, 本研究で提案された解析式は, 種々のループ形状の幅広く対応できる構成式であることが判った.
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[Publications] 幡中憲治;藤満達朗;市山弘幸: 日本機械学会論文集A編. 53. 748-754 (1987)
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[Publications] K.Hatanaka;T.Fujimitsu: American Society for testing and Materials Special Technical Publication(ASTM STP). 942. 257-280 (1987)
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[Publications] K.Hatnaka;T.Fujimitsu: International Conference on ″Role of Fracture Mechanics in Modern Technology″. 267-280 (1987)
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[Publications] K.Hatanaka;T.Fujimitsu: The Second International Conference on ″Low Cycle Fatigue and Elasto-Plastic Behavior of Materials″. 155-164 (1987)
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[Publications] 幡中憲治;藤満達朗;澄川泰弘: 日本機械学会 中国四国支部第26期総会・講演会 講演概要集. 885-1. 59-60 (1988)