1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 照哉 東京大学, 工学部, 教授 (30010705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 政邦 東京大学, 工学部, 助手 (20011140)
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Keywords | 極低温絶縁 / 極低温送電 / 極低温放電 / 不平等電界放電現象 / 窒素ガス中の放電 / 空気中の放電 / 針先の曲率半径 |
Research Abstract |
1.昨年度の研究によって窒素ガス中負極性のコロナ→グロー移行電圧は常温から-20〜-30°C程度まで温度低下とともに減少し、それ以下の温度では一定になる現象が観察されたのでこの原因を確かめる研究を行った。まず針電極先端の形状を変化させたが上記の性質は変わらなかった。次に水蒸気が原因ではないかと考えガラス容器内に針一平板電極を封入しこれを数百度で熱する(ベーキング)ことによって水分を除いた上で窒素ガスを入れ放電特性を求めた。この結果常温と極低温における移行電圧に有為の差は見られず、常温における移行電圧の上昇は微量の水蒸気のためではないかと推定される。 2.正極性窒素ガス中のフラッシオーバ電圧が低温で上昇することが本研究室で見出されていたが、今回詳細な実験を行ったところ針電極先端の形状によって低温における性質が著しく変化することが明らかになった。針を鋭くとがらせた円錐針では温度が低くなるほどフラッシオーバ電圧は上昇し-160°Cでは常温の2倍近い値に達する。しかし先端を半球状にすると曲率半径0.5mmでも上昇率は半分程度に減少し、半径2mmの球電極では温度で変化しなくなる。さらに半径が大きくなるとごくわずかな下降傾向を示すようになる。 3.同じ正極性でも空気中では鋭い円錐針では温度のよってフラッシオーバー電圧は全く変化せず、先端の曲率半径を大きくしてゆくと常温におけるフラッシオーバ電圧が上昇し低温になると下降して円錐針の値と一致した温度以下では一定になる。 以上のように正極性では窒素中空気中とも針先端形状がフラッシオーバ電圧に大きな影響を持っている。一方負極性では針先の形状は全く影響がない。このことからも負極性における常温付近の電圧上昇は水蒸気等不純物の影響と考えられる。
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