1989 Fiscal Year Annual Research Report
極低温液・固体複合電気絶縁の気泡抑制と耐電圧向上に関する研究
Project/Area Number |
62460111
|
Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY, FACULTY OF ENGINEERING |
Principal Investigator |
堀井 憲爾 名古屋大学, 工学部, 教授 (70023223)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 幸男 豊橋技術科学大学, 第3工学系, 助手 (50190658)
清水 教之 名古屋大学, 工学部, 講師 (20126866)
|
Keywords | 極低温 / 電気絶縁 / 液固体複合絶縁 / 気泡 / 部分放電 / 長期信頼性 / 液体窒素 / 低温変圧器 |
Research Abstract |
1.気泡存在下における液体窒素の絶縁破壊強度は、同温度における気泡のない場合の液体と強度の気体のそれとの中間に位置する。また、気泡の数が増加すると強度が低下しばらつきは小さくなった。この絶縁破壊特性は、気泡を弱点とした体積効果理論でよく説明できる。高電界にさらされた液体窒素中の気泡は、Maxwell応力により電界方向に細長く変形する。電極間を橋絡し、内部で放電が発生する場合もみられた。 2.気泡の抑制は極低温液・固体複合絶縁系においては重要な技術であるが、これは当初予想したよりはるかに困難なものであった。気泡を抑制する方式として、加圧方式や過冷却方式が試みられた。当然ではあるが、加圧状態や過冷却状態においても発生熱が大きければ気泡は生じる。更に、高電界領域では部分放電によっても気泡が発生する。従って、長期にわたる信頼性を確保するためには、気泡の発生を完全に押え込む方法より、或る程度気泡の発生を考慮した方式の方が現実的であろう。このような方式として、以下の3点を提案した。 (1)気泡内部の部分放電に曝されても、寿命が低下しにくい固体材料または方式を用いる。 (2)気泡を、高電界領域を通過する事なく排除する。 (3)気泡問題を抜本的に解消するため,冷媒と電気絶縁を分離させる。 3.気泡問題を抜本的に解決する方法として、内部冷却中空導体巻線に固体電気絶縁を施すことが提案された。低圧巻線に液体窒素流通内部冷却中空導体を、高圧巻線に充実導体を用いエポキシモ-ルド材で固体電気絶縁を施した変圧器巻線に通電したところ、高圧巻線のジュ-ル発熱はモ-ルド材を通した固体熱伝導により、有効に冷却排除されることが分かった。
|
-
[Publications] 高橋誠: "液体窒素変圧器の特性試験" 電気学会全国大会予稿集. 803 (1989)
-
[Publications] 辻村哲郎: "マイカ入りエポキシ樹脂板の極低温絶縁破壊" 電気学会全国大会予稿集. 294 (1989)
-
[Publications] 高橋誠: "液体窒素冷却変圧器に使用するエポキシ樹脂の耐クラック性試験" 電気関係学会東海支部連合大会予稿集. 128 (1989)