1988 Fiscal Year Annual Research Report
バリスティック電子の回折をもちいるGaInAs超高速トランジスタの基礎研究
Project/Area Number |
62460133
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古屋 一仁 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40092572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 恭幸 東京工業大学, 工学部, 助手 (40209953)
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Keywords | 超高速トランジスタ / ホットエクレトロン / バリスティック伝導 / 有機金属気相成長法 / 電子の波動性 / 電子波回折 / 超格子 / 電子波多重反射 |
Research Abstract |
半導体内で高速電子が無衝突伝導する範囲内に極微構造を作り込むことによって電子流を制御する新原理の超高速トランジスタ実現のための基礎を築くことを目指し、第2年度は、半導体内の無衝突電子伝導、特にその波動性を実験的に調べ、電子波回折の理論的解明をさらに進めてデバイス特性および設計に必要なデータを求め、以下の成果を得た。 1.有機金属気相成長(OMVPE)法でGaInAs/InPヘテロ接合界面特性をさらに改良し、GaInAs結晶内へのホットエレクトロン注入を再現性高く達成できるようにした。 2.ホットエレクトロン伝導を測定するためのデバイス製作工程を改良し高歩留まりで試料を得ることができるようにした。具体的には第1年度には歩留まりは1%以下であり再現性あるデータが取れなかったが、今年度は50%以上で解析に足るデータが得られるようになった。 3.その結果、ホットエレクトロンのエネルギーと注入電流との関係に特異な振動現象を見いだした。理論解析との比較から、この振動現象はエミッタ障壁とコレクタ障壁とで電子の波動関数が多重反射することに基づくものであることを明らかにした。 4.電子波回折現象を観測するために必要な超格子を作製するための基礎として、電子ビーム露光法と我々が独自に開発した化学エッチングの手法によりInP半導体表面に70nm周期の周期構造形成を達成した。 5.横超格子による電子波回折特性について、有限動作温度に対応して波動の伝搬方向に広がりがある場合について解析し、77Kにおいても動作が可能であることを明らかにした。 以上、ホットエレクトロンのバリスティック伝導特性、特にその波動性観測に成功し、さらに理論的研究とあわせて高速バリスティック電子の波動性を動作原理とする電子デバイス実現のために重要な基礎的知見を得た。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] K.Furuya: IEEE Journal of Quantum Electronics. 24. 1652-1658 (1988)
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[Publications] K.Furuya: The Transactions of The IEICE. E71. 286-288 (1988)
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[Publications] K.Furuya: Journal of Vacuum Science and Technology. B6. 1845-1848 (1988)
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[Publications] P.Daste: Journal of Crystal Growth. 93. 365-369 (1988)
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[Publications] Y.Miyamoto: Journal of Crystal Growth. 93. 353-358 (1988)
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[Publications] K.Furuya: Japanese Journal of Applied Physics. 28. 303-304 (1989)
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[Publications] E.Inamura: Electronics Letters. 25. 238-240 (1989)
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[Publications] K.Furuya: The 32ed International Symposium on Electron,Ion,and Photon Beams,1988,May31-June3,Florida. G7. (1988)
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[Publications] K.Furuya: Second Optoelectronics Conference(OEC'88) Technical Digest,Oct,1988,Tokyo. 184-185 (1988)
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[Publications] K.Furuya: Abstract of US-Japan Seminar on Alloy Semiconductor Dhysics and Electronics,Oct.Hawaii. (1988)
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[Publications] 古屋一仁: 電子情報通信学会電子デバイス研究会技術研究報告. 88. 39-46 (1988)
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[Publications] 木下聡: 東京工業大学超高速エレクトロニクス第2回研究報告会. 52-55
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[Publications] 栗島賢二: 平成元年春季応用物理学会学術講演会(3月). (1989)
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[Publications] 上坂勝己: 平成元年春季応用物理学会学術講演会(3月). (1989)
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[Publications] 稲村悦子: 平成元年春季応用物理学会学術講演会(3月). (1989)
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[Publications] 古屋一仁: 平成元年電子情報通信学会全国大会. (1989)