1988 Fiscal Year Annual Research Report
都市震災の関連および波及構造の解明とその震災想定調査への利用に関する研究
Project/Area Number |
62460148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 恒雄 東京大学, 生産技術研究所・第5部, 教授 (70013216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 暢彦 東京大学, 生産技術研究所・第5部, 助手 (90013177)
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Keywords | 地震工学 / 都市地震防災 / 構造解折手法 / ISM法 / FSM法 |
Research Abstract |
初年度に実施した、専門家に対するアンケート調査結果に基づく、都市施設の震災時の関連および波及構造に関する基本フレームをさらに発展させるため、やはり初年度に開発したFQSM法(やや定量的なファジー構造解折手法)を用いて波及構造図を作成し、それらの意味するところを検討した。 因果行列は、「影響大、かつ結果を引き起こす可能性大」の1.0から「全く関係ない」の0までの6値で評価した。大震災時に発生の可能性のある都心地域の主要被害の波及構造の検討から、火災およびシステム制御支障の影響が、一般に構造図にフィードバックループをつくってしまい、被害波及の様相をかき消してしまうことが分かった。このことは、火災やシステム制御支障が都市震災で重要であることを示すと同時に、これらに余り影響を受けない地域での波及特性をかえって分かり難くする。したがって、火災やシステム制御支障をあえて除いた構造図も、都市震災の理解には重要である。そこで、これらのうちでも特に影響の大きな「火災」を考慮した場合と考慮しない場合について、地震動による被害、電力途絶による被害、交通による被害、復旧活動の制約要因、被災生活制約要因などに注目し、震災時の波及構造図を作成した。 FQSM法による波及構造図は、連鎖関係の重みを表現することができ、読み手の立場と価値観に応じた種々の解釈や判断を可能とする。また、手法そのものが手軽に使えることもあり、地域を限定し、前提条件を変えながら波及構造を考えるという「住民参加型の被害想定」を行うための、きわめて有力なツールとなりうるものと思われる。 もともと構造解折手法は複雑な問題の因果関係を構造図として整理することにより、グループ内の問題意識を共有するところに大きな意義があり、関係者自身が問題意識を啓発するために広い利用が考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 和気 忠,片山恒雄: 土木学会第43回年次学術講演会 講演概要集第1部. 798-799 (1988)
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[Publications] 片山恒雄: 第29回生研講習会テキスト「21世紀に向けて新しい都市を考える」. 57-72 (1988)
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[Publications] 片山恒雄: 建築雑誌. 103. 52-55 (1988)
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[Publications] 片山恒雄: 技術と経済. 20-29 (1988)