Research Abstract |
河口部の流れは, 潮汐, 表面波, 淡一塩水成層化等, 多くの要因が重なり, 流速構造一つを例にとっても, その時間的変動の把握さえ困難である.この事情は又, 淡一塩水界面での物理過程についての情報の欠落という問題にも直結している.一方, 水理量のコントロールと計測が容易な水理模型実験は大いに進展し, 幾つかの界面波の発生が明確にされると同時に, その砕波への大規模渦の寄与も明らかにされるに至っており, 同現象の野外での確認が急務となっている.この実験的な知見のうち, 比較的観測の容易な界面波の発生については現実に野外においても確認されている.しかし, その発生限界等, 物理過程については議論できる状態になく, 大規模渦についてはその存在され確認できていない.本研究の目的はこの様な問題を解明することであるが, 初年度は流速構造を把握するための測定系の製作と次年度の観測計画の立案を行なった.まず, LDAを流速計として採用した.このLDAは空間分解能, 時系列精度ともに精度が良いため, 河床を基礎とするLDAのスライド装置を製作し, 天塩川, 猿払川, 旧釧路川においてテストをくりかえした.その結果, 5mにわたる鉛直方向の流速分的は1分程度で, 又, 20mにわたる水平方向の流速分布は3分程度で測定し得ることが分かった.従って刻々変化する流れ構造を流速分布の時間変化として把握できる段階に達したといえる.又, 2点同時計測のシステムも完成し, 時空間相関を得る準備も完了した.次年度は本観測を実施し, 河口流における潮汐, 表面波, 界面波, 乱流の成分分析をLDA解析装置を使用して行ない.水質等, 他の物理量の変化との関連を明らかにしてゆく予定である.なお, 62年度の予備観測を通じ表面波高の測定の必要性が明らかになった.次年度は, 表面波計測も観測計画の中に考慮してゆく予定である.
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