1988 Fiscal Year Annual Research Report
環境悪化市街地の更新過程における集団住宅の共同建替に関する研究
Project/Area Number |
62460175
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三村 浩史 京都大学, 工学部, 教授 (50025912)
|
Keywords | 集団住宅 / 都市再開発 / 居住地計画 / 社会福祉 / 住宅経営 |
Research Abstract |
1.共同建替え計画中の老朽公営住宅団地を対象として、次のような事例分析を行った。(1)入居後、数十年を経た公営住宅団地においては、住宅そのものと老朽化と同時に、居住者の高令化・低所得化が進行している。これに伴ってコミュニティ活動の維持が困難になっていることが明らかになった。(2)公営住宅の共同建替えは、老朽住宅・住環境ストックの改善向上に多大な効果を発揮するが、家賃の上昇によって住み続けることが困難になる層が存在すること、収入超過者の排除は、コミュニティの年令構成をいっそうアンバランスにしていること、単身化・孤立化に対してケアサービースが大きなニーズとして要求されていることことがわかった。 2.京都市営醍醐南団地での調査を通じて、入居後十数年の経過のなかでの居住歴・居住者構成の推移と、単身老人問題の発生するモデルを作成し、これによって家族類型ごとに高令単身化のパターンが異なることを解明した。すなわち、単身老人であること自体が問題ではなく、単身化のプロセスのあり方が単身老人の孤立化を規定していることが実証できた。 3.さらに、京都市営住宅応募カードを用いて、応募高令者世帯の分布と募集された団地の所在地との相関と選択理由について分析した。その結果、応募世帯では、いわゆる多家族同居世帯向け住宅よりも小人数(欠損)世帯の需要が多いことが明らかになった。そして、高令者の居住地選択特性の分析から、既住地域社会から絶縁れない供給立地条件の重要性が導かれた。 4.集団住宅の共同建替え、スラム・クリアランス(都市再開発)の発達過程に関する分献研究を行った。スラム・クリアランスには、オスマン方式から英国の自治体住宅政策まで、その事業手法が異なるが、日本の場合は大正期に英国の住宅政策を取り入れている。ただし、不良住宅改良と公営住宅は切り離されていたことが明らかになった。
|
-
[Publications] 三村浩史 他: 日本都市計画学会術研究論文集. 22. 85-90 (1987)
-
[Publications] 三村浩史 他: 日本都市計画学会学術研究論文集. 23. 133-138 (1988)
-
[Publications] 三村浩史 他: 日本建築学会近畿支部研究報告集. 28. 709-712 (1988)
-
[Publications] 三村浩史 他: 日本建築学会近畿支部研究報告集. 28. 713-716 (1988)
-
[Publications] 三村浩史: "「都市再開発問題史」『都市問題の軌跡と展望』" ぎょうせい, 36 (1988)
-
[Publications] 三村浩史: "都市化社会の住居一成熟段階の居住様式とタウン経営一" 住宅建築研究所, 17 (1988)