1987 Fiscal Year Annual Research Report
合金炭化物・窒化物を析出相とする多元合金系におけるセル状析出の成長機構
| Project/Area Number |
62460192
|
|---|
| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
菊地 實 東京工業大学, 工学部, 教授 (30089817)
|
|---|
| Keywords | セル状析出 / 粒界反応型析出 / FeーCrーNiーN合金 / Cr_2N / EPMA / 窒素分析 / 長距離拡散 |
|---|
| Research Abstract |
本研究は,(I)高濃度の窒素を含有するCrーNiオーステナイト鋼におけるCr_2Nの粒界反応型析出および (II)FeーCrーN3元系におけるγ→α+Cr_2N共折反応を取り上げ,(A)セル状析出の進行に伴う侵入型固溶型元素である窒素の濃度分布を置換型固溶元素の濃度分布とともに決定し,(B)これら合金元素の拡散とセル状析出の成長挙動とを対応づけることにより,(C)多元合金系におけるセル状析出の一般的な成長機構を解明することを目的とするものである. 得られた成果を以下に示す.
1. EPMAによる窒素濃度分析法の確立: 0.01〜0.54wt%の窒素を固溶した8種類のオーステナイト単相の25Crー20NiーN鋼を標準試料として用い, 分光結晶に高感度のSTEを用いた検量線法により0.01wt%程度の精度で窒素濃度を測定する手法を確立した.
2. 未反応母相およびセル内部の窒素の濃度分布: 800℃で時効加熱処理を施した25Crー20Niー0.59Nオーステナイト鋼を用いて,1.の手法を用い未反応母相およびセル内部の窒素濃度の分布をEPMAにより実測した. EPMAによる結果は,格子定数の実測結果より算出した窒素濃度とよく一致する. この結果より,反応の進行に伴い未反応母相からセル内部へ向かって窒素が長距離拡散により流入することが明らかとなった.
3. 多元系におけるセル状析出の成長機構のモデル: 置換型二元系のセル状析出に対するHillertのモデルを侵入型元素を含む多元系に拡張することにより,高Crー高Niオーステナイト鋼で観察されるCr_2Nのセル状析出反応におけるセルの特異な成長挙動は(2)で観察された窒素の長距離拡散と移動セル界面前方での未反応母相中のCrの体積拡散による駆動力の消費とによって説明できることを明らかにした.
|
Research Products
(2 results)
