1988 Fiscal Year Annual Research Report
分析電子顕微鏡極微小部定量分析による合金状態図の検討
Project/Area Number |
62460195
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
根本 実 九州大学, 工学部, 教授 (90005265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 善治 九州大学, 工学部, 助手 (20173643)
佐野 毅 九州大学, 工学部, 助手 (70037810)
美浦 康宏 九州大学, 工学部, 助教授 (80037879)
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Keywords | 分析電子顕微鏡 / EDS定量分析 / Ni-Al-Mo三元合金 / Ni-Al-Ta三元合金 / Al-X二元合金 / イオンミリング / 外挿法 |
Research Abstract |
分析電子顕微鏡EDS定量分析の信頼性を高めるために種々の誤差の原因について検討を加えた。またNi-Al-MoおよびNi-Al-Ta三元合金ではγ/γ′二相領域を決定し、それぞれMoおよびTaの各相への分配挙動を調べた。 1.X線検出感度は試料の検出器との位置関係に大きく影響され、また検出器内のSi(Li)結昌の冷却能の低下などによっても影響される。k因子の理論計算式にはこのような検出感度を表すパラメータが含まれていないためk因子として実測値を用いなければならない。検出感度は検出器により異なり、また同一検出器でも経時変化を伴うため、k因子を実測する場合、分析に使用する装置で一連の分析毎に求め直す必要がある。 2.薄膜試料の分析では試料深さ方向に沿ってのX線の発生率は深さに依存しないと仮定され吸収補正式が導かれているが、Stentonら(1981)の報告によればこの仮定は必ずしも正しくないと指摘されている。この点に関してNi中でのNiKα線発生の深さ依存性を調べたところ、この仮定に伴う分析誤差はほとんど無視できることがわかった。 3.Al-X(Si,Cu,Ag)二元合金では試料表面にX元素に富んだ表面層ができ膜厚が薄いときは分析結果に重大な影響を及ぼすことになる。このような表面層はイオンミリングをある制御された条件下で行うことによって除法できる。また、解析的にも外挿法を適用することによってその影響を軽減することができる。 4.Ni-Al-Mo合金においてMoは低Moは低Mo濃度側でγ′相に高濃度側でγ相に多く固溶する。平衡化温度に上昇とともに、γ′相と平衡するγ相中のMo濃度は高くなる。また、Ni-Al-Ta合金においても同様の傾向が得られたが、Taの方がMoよりも高濃度側で分配挙動が逆転することが明らかになった。このような分配挙動の強い濃度依存性は合金元素1モル当りの添加による自由エネルギー変化がγおよびγ′相で著しく異なることによる。
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[Publications] 堀田善治: 日本電子顕微鏡学会分科会、第4回分析電子顕鏡討論会. 1-8 (1988)
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[Publications] 堀田善治: 日本電子顕微鏡学会分科会、電子顕微鏡の基礎に関する討論会. 1-6 (1988)
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[Publications] Zenji Horita: Ultramicroscopy. 21. 271-276 (1987)
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[Publications] Zenji Horita: 9th European on Electron Microscopy. 155-156 (1988)
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[Publications] Zenji Horita: Phillosophical Magazine. (1989)
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[Publications] Zenji Horita: ISIJ International. (1989)