1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460211
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
長野 敏英 東京農業大学, 総合研究所, 助教授 (10012006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵田 憲次 東京大学, 農学部, 助教授 (90161736)
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Keywords | 組織培養 / 環境調節 / じゃがいも / 養分吸収 / 光独立栄養 |
Research Abstract |
近年, ウイルスフリー株の生産が可能であることなどのメリットのために組織培養による種苗生産が注目されてきているが, 組織培養に置ける環境調節の重要性が認識されてきたのは, ごく最近である. 本研究では, 組織培養における環境調節の立場から従来の組織培養方法を振り返り, 新しい方法として気液二相方式を提案し, その有効性を確認することを目的とする. 従来の組織培養では, 試験管やプラントボックス内の寒天培地, あるいはフラスコやジャーファーメンタ内での液体培地による培養が主であった. しかしながら, 培養植物の養分吸収, ガス交換, 環境調節の難易度, 移植などの労働性等の観点からは, 上述の方法には改良すべき点が多々あると考えられる. 本研究で提案する気液二相方式とは, 培養気間内に培地をミスト状に噴霧し, 同時にそこの気温やガス組織(CO_2濃度とO_2濃度)を制御する方式である. このようにして, 主に養分吸収とガス交換の面で培養植物にとって良好な環境を作り出すことができる. また, 噴霧する培地を培養ステージごとに変えれば, 移植の必要もなくなる. 本年度は試作第1号機を制作し, その性能・改良点を調べた. また, 本装器置による培養植物の気孔形成を従来法のそれと比較するための培養植物体表面の走査型電子顕微鏡撮影の予備実験も行なった. さらに, 第1号機の実験結果をふまえ, 改良した第2号機を制作中である. 第1号機の実験の主な結果は次のようである. 温度, CO_2濃度の制御は良好であった. 培地がミスト状に浮遊する時間は30秒以下であった. 温度膨張率の異なる材質で培養部を制作したため, オートクレーブによる破損の可能性があり, 滅菌性に問題が残った. じゃがいもの節培養による実験では, 寒天培地より平均値で良好な生育がみられたが, 植物支持方法が原因で生育のばらつきが大きかった.
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