1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460214
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加茂 直樹 北海道大学, 薬学部, 助教授 (10001976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健司 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (80183953)
高橋 哲郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (90133769)
上田 哲男 北海道大学, 薬学部, 助手 (20113524)
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Keywords | 高度好塩菌 / 真性粘菌変形体 / 位相波 / 非線形振動 / 非線形振動の引き込み / 活性酸素 / 走光性 |
Research Abstract |
研究は順調に進展し、以下に述べるような結果をえた。 1)高度好塩菌(H.halobium)の走光性の受容体を同定し、その光化学反応を閃光光分解法および低温スペクトル法により調べた。 2)アメーバ様細胞の情報処理機構について、真性粘菌を実験材料として研究した。真性粘菌変形体はシート状に広がりアメーバ型運動により移動する。変形体内では原形質が2分程度の周期で往復運動を繰り返している。この周期的な原形質の流れまたはそれに付随して見られる収縮弛緩は原形質の厚みの変化をともなう。この変化は透過光量の変化としてとらえることが出来る。ビデオ撮影により、波が伝播してゆくのが見える。粘菌変形体は多数の相互作用をする振動子の集合体と考えられる。波の伝播はこれらの仮想的な振動子集団の状態である。種々の刺激をしたときの、振動子間の相関関係や位相関係を求めた。変形体の一部に誘引刺激である高温刺激を与えると、刺激部位の振動子の位相が周りより進み、低温の忌避刺激を与えること、全く逆の事が起こる。位相ベクトルの分布あるいは位相の進み具合によって外部刺激の良否の判断をしていると結論した。また、誘引刺激ではあるが、その刺激を細胞の固有振動数よりもゆっくりした振動で与えると、変形体は逃避した。逆に、固有振動数よりも速く振動する忌避刺激を与えると、誘引刺激となった。この事は、振動の引き込み現象で説明出来る。 3)粘菌変形体はUV-青色光刺激に対して、負の走光性を示す。この作用光スペクトルを決定した。無酸素状態では走光性が発現しないので、この走光性には酸素が関与している。活性酸素発生の作用スペクトルを測定すると、走光性のそれとよく一致する。従って、活性酸素が負の走光性のmediatorとなっていると結論した。
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[Publications] T.Ueda: Photochemistry and photobiology. 47. 271-275 (1988)
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[Publications] N.Kamo: Biochem.Biophys.Res Commun.157. 1090-1096 (1988)
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[Publications] Y.Shichida: FEBS left.236. 333-336 (1988)
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[Publications] T.Ueda: Photochemistry and photobiology. 48. 705-709 (1988)
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[Publications] T.Ueda: Protoplasma. Suppl1. 51-56 (1988)
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[Publications] K.Matsumoto: J.Theor,Biol.131. 175-182 (1988)
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[Publications] S.Kurosawa: J.Membrane Science.
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[Publications] N.Hazemoto: Chem.Pharm.Bull.
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[Publications] E.Tawara: Anal.Chim.Acta.
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[Publications] S.Kurosawa: Anal.Chem.
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[Publications] S.Kurosawa: Mutation Res.