1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62460235
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Research Institution | The University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高山 茂美 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20062797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢屋 ふじこ 筑波大学, 地球科学系, 助手 (00193384)
真板 秀二 筑波大学, 農林工学系, 講師 (50015864)
池田 宏 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20015986)
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Keywords | 混合砂礫 / 急勾配渓流 / 土砂移動 / 水路実験 / 堆積構造 / 垂直的分級 / 縦断的分級 |
Research Abstract |
調査渓流である東河内沢を原型とした平面模型実験を行なって、実際河川における土砂移動とその堆積機構を考察した(1)。また小型のダクト(閉管路)水路を製作して、現実の流れもとでは観察が不可能な、高流砂階での底面近傍での土砂移動を観察し若干の解析を行なった(2)。そして、現地調査と水路実験との成果をあわせて高流砂階の混合砂礫の移動に伴って形成される堆積構造の成因について考察した(成果報告書のとりまとめ)。主な成果は以下の通り。 (1)平面模型実験の成果:調査渓流での堆積物調査によると、谷底で自由に水流が転流しながら同時に河床が上昇していくことが、渓流での土砂移動及びその堆積にはきわめて重要な条件であると考えられた。幅の広い水路を製作し、多量の岩屑を連続的に供給して、調査渓流での土砂堆積を実験水路上に出現させた。礫ばかりが渋滞する礫州が生じて、そうでない部分に流れが集中するという一対の機構によって、細粒層と粗粒層の互層が生じることがわかった。また、混合砂礫の流送では、流送砂礫のすべてが地層中に保存されるわけではない。河床上昇速度(堆積速度)の遅速によって支配され、急激に堆積がおこる条件(場所)では粗粒物質が、緩慢な所では細粒物質が保存される傾向にあることが判明した。 (2)ダクト水路実験の成果:流れによる砂礫の垂直的分級と、縦断的分級が明らかになった。高流砂階では躍動の高さが大粒子ほど高いことによって垂直的分級が生じる。縦断的には、移動速度の大きい大粒子ほど前方で堆積し、常に底面近傍の弱い流れで運ばれる砂粒子は、礫粒子間の間隙を埋めながら集団で後方部を動いていることがわかった。縦断的な分級が、谷の上・下流、ある地点での上・下流、ある点での上・下流というようにスケ-ルを変えてもそれぞれ起こっており、混合砂礫からなる堆積物の粒径構成や堆積構造の成因を説明する最も重要な機構であると考えられた。 (3)現地討論会の開催:地理、砂防、地球物理、堆積学など分野の異なる研究者を集めて、現地討論会を10月に開いた。対象を同じにしながら、アプロ-チの仕方が違う人々と活発な意見交換があって、きわめて有意義な会であった。 (1)の実験水路を現地に搬入して、デモ実験も行ない、混合砂礫の流送と堆積に関する我々の見方に対して参加者の賛同を得た。
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[Publications] Dietrich,W.E.,J.W.Kirchner,H.Ikeda and F.Iseya: "Sediment supply and the development of the coarse surface layer in gravel-bedded rivers" Nature. 340. 215-217 (1989)
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[Publications] 伊勢屋ふじこ,池田宏,Tom E.Lisle: "実験水路における堆積段丘と侵食段丘:供給岩屑量の減少にともなう段丘形成" 地形. 10(4). 279-294 (1989)
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[Publications] 小玉芳敬・池田宏・伊勢屋ふじこ: "沖積礫床河川の粒径分布に及ぼす礫の破砕・摩耗効果の評価-渡良瀬川における粒径別岩種構成比の縦断的変化" 筑波大学水理実験センタ-報告. 13. 13-26 (1989)
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[Publications] 眞板秀二: "大井川東河内実験渓流における渓床堆積地の動的変化" 水利科学. 187. 28-51 (1990)
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[Publications] Kirchner,J.,W.E.Dietrich,F.Iseya and H.Ikeda: "The validity of critical shear stress,friction angle,and grain protrusion in water-worked sediments" Sedimentology. (受理中). (1990)
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[Publications] 眞板秀二,遠藤徹,和出昌典,砂坂元幸: "1989年8月および9月豪雨による東河内流域の土砂の生産,流出および堆積の実態" 筑波大学演習林報告. 6号. (1990)