1988 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーフォトリシスESRの時間分解能向上と電子スピン緩和機構への応用
Project/Area Number |
62470001
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
手老 省三 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助教授 (80111318)
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Keywords | レーザーフォトリシス / 時間分解ESR / 光化学反応 / 励起三重項状態 |
Research Abstract |
1.レーザーフォトリシESP装置の時間分解能向上。 時間分解ESR装置の信号検出系にデジタイザーを組み入れ、種々の系について、過渡的ESP信号の応答を観測し、時間分解能の向上を確認した。さらに、本年度設備備品として購入した高速前置増幅気(スタンホード、SR-440、電圧利得:5〜625倍まで4段階可変、立ち上り、立ち下がり時間:1.2+1秒)により、信号/雑音比が向上した。 2.低温剛体溶媒中における0-キノン類の励起三重項状態の研究、無リン光性1.2-ナフタキノン(1.2-NQ)とリン光性9.10-フェナントレンキノン(9.10-PQ)の励起三重項状態の時間分解ESRスペクトルの測定を、種々の溶媒について行った。本研究で、初めて、無りん光性1.2-NQの励起三重項状態が観測され、その電子構造が、著しい溶媒極性の効果を受けることを明らかにした。また、9.10-PQのリン光寿命は、溶媒依存性が小さいのに、その零磁場分裂定数は、大きな変化を示し、電子状態が変化していることを明らかにした。(J.Phys.Chem.印刷中) 3.0-メチルアセトフェノンおよび関連化合物の光エノール化反応と励起三重項状態の研究 標記化合物は、光誘起分子内水素移動反応を引き起こすことから興味が持たれる化合物である。生成する無リン光性エノールの時間分解ESRスペクトルを観測し、非常に小さな零磁場分裂定数から、反応性の高いビラジカル性を明からにした。関連化合物の系統的な研究から、親分子の励起三重項状態の電子構造とエノール生成収率との関係について研究した。エノール対の時間分解ESRスペクトルの立ち上がりが観測され、親分子の励起三重項状態との寿命の違いを明らかにした。メチルビオローゲンへの電子移動反応にも応用した。(J.Phys.ehem.日化誌)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Shimoishi;K.AKIYAMA;S.Tero-Kubota;Y.Ikegami: Chem.Lett.251-254 (1988)
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[Publications] S.Tero-Kubota;K.Migita;K.Akiyama;Y.Ikegami: J.Chem.Soc.Chem.Commun.1067-1068 (1988)
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[Publications] H.Shimoishi;S.Tero-Kubota;K.Akiyama;Y.Ikegami: J.Phys.Chem.
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[Publications] T.Ikoma;K.Akiyama;S.Tero-Kubota;Y.Ikegami: J.Phys.Chem.
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[Publications] S.Tero-Kubota;K.Akiyama;T.Ikoma;Y.Ikegami: J.Am.Chem.Soc.
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[Publications] 秋山公男、手老省三、生駒忠昭、池上雄作: 日本化学会誌.