1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
綱島 滋 東京工業大学, 理学部, 教授 (20016108)
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Keywords | 位相差法 / 窒素原子の反応 / ラジカル反応 / 質量分析 / 放電流通法 / 反応機構 |
Research Abstract |
既存の質量分析計を本研究の目的に沿うように改造を行った62年度に引き続き、63年度は初期の計画に従い、装置のチェックおよび信号系の調整を目的として、窒素のマイクロ波放電によって生成する窒素原子とアセトンの光分解によって生成するメチルラジカルとの反応での生成物の質量分析を試みた。 しかし、残念なことに本研究装置の心臓部分である質量分析計が古いものであったので、メーターや部品等が劣化しており、多くのトラブルにあった。これら質量分析計の動作不良の原因追求および修理のため、予想外の時間を必要とした。これらの修理が完了した後、装置のチェックを行った。その結果を以下に示す。 1.窒素分子のマイクロ波放電により生成する窒素原子濃度の最適条件が確立した。 2.アセトンおよびジェチルケトンを光分解してメチルラジカルおよびエチルラジカルを生成させたが光源の強度が充分でなく生成濃度が不足していた。 3.質量分析計の真空度が悪く目的とする反応による生成物以外の質量ピークが大きく現れてしまった。これらを改善するために以下の改善策を講じている。 1.光源を強度の強いものに取り替える。 2.不純物ピークの減少を目指し、真空槽の改良を行い、真空度の向上を図る。その後、やり残した装置のチェックを行い、当初の予定に従い以下の研究を行う予定である。 1.窒素の圧力、流速、アセトンの圧力等、種々の条件下で生成物のイオン強度を測定することにより、窒素原子とメチルラジカルとの反応機作の詳細を調べる。反応機作を調べる上で大きな情報になる重水素化合物の使用も考えている。 2.その後、反応させるケトンの種類を変えることにより、反応ラジカルの種類を変え、生成物の分布や反応機作の変化等を調べる。これらの結果を集積することにより、窒素原子と有機ラジカルの反応に関する一般則を導く。 3.反応室の温度を変化出来るように、改造し、この反応の速度定数の温度依存を調べられるようにする。
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