1988 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織および食品中の水分子のキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
62470004
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
渡辺 徳子 東京水産大学, 水産学部, 教授 (40092382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 則郎 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (40120125)
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Keywords | 水 / 組織水 / ゲル / NMR緩和時間 / T_2 / スピンプローブ法 / ESR / 凍結解凍機構 |
Research Abstract |
研究実施計画に従がい次の実績をあげた。すなわち 1.セファデックスゲル内のNMR緩和時間のマルチエクスポーネンシャル解析により、水の緩和機構が双極子相互作用による場合とゲルマトリックスのHと水のHとの交換相互作用による場合があることを明かにした。G25ゲル中の場合、後者が主な緩和機構であり、他のゲルと異なる。G25ゲル中の水の熱的特異反応との関連で興味深い。緩和時間のポアサイズ依存性についてはMagn.Reson,Med.に掲載された。緩和機構に関しては投稿準備中である。 2.ESR-スピンプローブ法による水の運動状態の検出:ポア内に水分子と共在するニトロキシ・ドラジカル(D化TEMPONE)の回転拡散運動の速さをモニターすることにより、ブラウン運動による水分子の衝突回数を見積り、間接的に水分子の熱運動の度合を知ることができる。G10からG100までポアサイズの異なるセファデックスゲル6種に対し、水分含量30〜70%の試料30種について、5°〜50℃の範囲でESRを測定した。G50〜G100までの大きなポアサイズをもつゲル中の水はゲルの大きさにかわりなく、全水分含量でほぼ同一の運動状態を示した。これに対しG25ゲル中の水は明かに相異しており、ポアサイズが小さいにもかかわらず見かけの回転の相関時間は短かく、活性化エネルギーも低い。この結果の解釈には粘性のデータが必要であり現在のデータからは詳細は不明であるが、G25ポア内の水分子の特殊性がESRの結果からも証明された。 3.T_2解析法の精度向上とT_2分布のある系への応用:T_2既知として合成FIDパターンを作製し、解析ソフトの精度向上をはかった。生体系のように不均一でT_2に分布のある系への応用をめざして、適当な半値幅をもったガウス分布を仮定してFIDを合成し解析した。分布幅の広い場合には計算値に50%の不確定さが見込まれ、新方法の開発の必要性を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Murase;T.Watanabe: Magnetic Resonance in Medicine. 9. 1-7 (1988)
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[Publications] T.Watanabe;N.Murase: Magnetic Resonance in Medicine.
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[Publications] T.Watanabe;H.Morozumi: Magn.Reson.Med.