1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
広田 襄 京都大学, 理学部, 教授 (90093301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 清語 京都大学, 理学部, 助手 (10127152)
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Keywords | 励起三重項状態 / 振動励起状態 / りん光 / 光反応 / 2色MPI / 励起スペクトル |
Research Abstract |
本研の目的は孤立分子系(気相)および凝縮系において、高い振動状態にある励起三重項状態の研究を行うことであった。以下に成果の概要を記す。 1 孤立分子系 京都大学理学部化学教室において、孤立分子励起状態研究用の装置を製作すると共に、分子科学研究所、ピッツバーグ大学との共同研究として研究を行った。製作した装置の概要は次の通りである。光源としてエキシマーレーザー励起色素レーザー光、またはその倍波を用い、起音速ジェット中の分子と励起する。三重項の検出は円面鏡を用いたりん光の直接観測および、MPI、質量分析法によって行う。既にピラジン、メチルピラジン類の励起一重項状態についてS/Nの良い高分解能励起スペクトルを得ており、現在りん光観測による三重項状態の励起スペクトルの観測を試みている。分子研の共同研究として、2色MPI法によりS_0→T_1励起スペクトルを得ることを試み、ピラジンについて高分解能スペクトルを得ることに成功し、三重項状態の研究にこの方法が有効であることが示された。ピッツバーグ大学の共同研究では、メチルピラジンのりん光および蛍光スペクトルを観測して比較検討した。 2 凝縮系 凝縮系の研究として行ったものは次の通りである。(イ)アザ化合物の三重項状態の振動励起状態、(ロ)アザナフタレン三重項状態のデュレン結晶中における水素引き抜き反応、(ハ)Ru錯体の励起状態と緩和過程、(ニ)ベンジルの光反応の状態依存性。イ)〜ハ)の研究から高い振動状態の三重項状態がりん光寿命の温度変化、零磁場定数の温度変化、水素引き抜き反応速度などを決めるのに重要な役割を演じていることが示された。また(ニ)の研究から溶液中で状態に依存する異った反応の存在が示された。しかし、これらの課題には今後解決すべき多くの問題が残されている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Noboru Hirota,Seigo Yamauchi,Masahide Terazima: Reviews of Chemical Intermediates. 8. 189-2205 (1987)
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[Publications] Seigo Yamauchi,Ko Mibu,Yasuo Komada,Noboru Hirota: Journal of physical Chemistry. 91. 6173-6177 (1987)
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[Publications] Seigo Yamauchi,Noboru Hirota,Jiro Higuchi: Journal of physical Chemistry. 92. 2129-2133 (1988)
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[Publications] Keisuke Tominaga,Seigo Yamauchi,Noboru Hirota: Journal of physical Chemistry. 92. 5160-5165 (1988)
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[Publications] Yasuo Komada,Seigo Yamauchi,Noboru Hirota: Journal of physical Chemistry. 92. 6511-6518 (1988)
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[Publications] Nagahiro Hoshi,Seigo Yamauchi,Noboru Hirota: Journal of physical Chemistry. 92. 6615-6619 (1988)