1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470007
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川村 尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (40026125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 都士 岐阜大学, 工学部, 教授 (10108061)
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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Keywords | 有機金属 / クラスター錯体 / 配位不飽和性 / マンガンカルボニル / コバルト錯体 / 金属原子間結合 / 白金クラスター錯体 |
Research Abstract |
配位不飽和有機金属とくにクラスター錯体の構造、電子状態、反応性ならびに物性を明らかにすることを目的として研究を進め、配位不飽和性の配位子依存性や金属原子依存性が以下の点で明らかとなった。 1.アルセニド架橋マンガンカルボニル複核錯体の光化学反応について調らべ、相応するホスフイド架橋錯体に比較して一次光化学反応生成物の反応性が著しく高いことを見出し、クラスター錯体の配位不飽和性が架橋配位子に依存して大きく変化することを見出した。 2.2価白金複核錯体の一電子酸化に伴う配位不飽和性の変化について研究を進め、酸化により複核錯体が会合して四核錯体を形成すること、ならびにこの四核錯体はもとの中性複核錯体に比較して著しく高い配位不飽和性を示し、中性複核錯体と会合し、六核、八核の多核体を可逆的に形成することを見出した。 3.一連の新規コバルト・ロジウム混合三核クラスター錯体を合成し、それらの分子構造を明らかにし、それらの電気化学的酸化還元挙動、ならびに一電子酸化物のESRを調らべ、ロジウム原子数の増大にともない錯体のイオン化ポテンシアルが大きくなること、またロジウム原子数に依存して最高被占軌道の入れ替りの起ることを見出した。 4.2価ロジウム複核錯体の一電子酸化物におけるロジウム原子間結合の電子配置が、架橋配位子と軸配位子に依存して変化することを見出した。これが、ロジウムと架橋配位子とのパイ相互作用ならびにロジウムと軸配位子のシグマ形相互作用によることを明らかにした。 以上、クラスター錯体の配位不飽和性が酸化(電子脱離)にともなって増大すること、酸化に際し脱離する電子の軌道が配位子と金属原子種に依存して入れ替ること、金属カルボニルグラスター錯体の配位不飽和性が架橋配位子に依存して変化することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 川村尚: J.Am.Chem.Soc.
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[Publications] 川村尚: J.Am.Chem.Soc.
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[Publications] 川村尚: Organometal.
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[Publications] 川村尚: J.Am.Chem.Soc.