1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷利 陸平 京都大学, 理学部, 助教授 (60025377)
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Keywords | ジアニオンの反応 / スルホキシド / キラル化合物の合成 / アルキル化反応の立体化学 / 立体選択的反応 / カルバニオンの立体化学 |
Research Abstract |
1.βーケトスルホンのパン酵母還元を利用することにより,100%e.e.のβーヒドロキシスルホン(I)の合成法を開発した. 又βーケトスルホキシドの立体選択的DIBAL還元により,βーヒドロキシスルホキシドのジアステレオマー(IIa,IIb)をそれぞれ100%e.e.で合成した. 2.IとIIのジアニオンをアルキル化すると立体化学的に全く異なる生成物が得られた. 溶媒・添加物・温度等の反応条件を検討することにより,IIのジアニオンにおいてはオキシアニオンがスルフイニル基とキレーション構造をとり,Iのジアニオンにおいてはオキシアニオンに溶媒が配位していることが判明した. 3.IIのジアニオニにおけるカルバニオンはコンフィギュレーション反転を起こすのに対し,Iのジアニオンにおいては反転の起こらないことを見出し,金属カチオンに対する配位の有無が重要であることを明らかにした. 4.I,IIのジアニオンとアルデヒドとの反応は完全な速度論支配であるが,アルキル化反応においては,完全な熱力学支配から中間的なものまで種々の反応形式のあることを証明した. 5.Iのジアニオンより100%e.e.のγーブテノリド,二置換テトラヒドロフラン,アリルアルコール類の合成法を確立した. IIのジアニオンより,100%e.e.のシスおよびトランスエポキシドを合成した. 6.γーケトスルホン,γーケトニトロ化合物をパン酵母還元することにより,高e.e.のγーヒドロキシスルホン,γーヒドロキシニトロ化合物を得ることに成功した. これらのジアニオンの反応につき現在検討中である.
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[Publications] Rikuhei Tanikaga: Synthesis. 1987. 389-390 (1987)
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[Publications] Rikuhei Tanikaga: J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1987. 1799-1803 (1987)
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[Publications] Rikuhei Tanikaga: Tetrahedron Lett. 28. 3705-3706 (1087)
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[Publications] Rikuhei Tanikaga: J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1988. (1988)
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[Publications] Rikuhei Tanikaga: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1988. (1988)
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[Publications] Rikuhei Tanikaga: Chem.Lett.1988. (1988)