1987 Fiscal Year Annual Research Report
天然水環境における塩素と臭素の分別に関する地球化学的研究
Project/Area Number |
62470031
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一國 雅巳 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (20005804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴見 実 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (70111680)
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Keywords | 臭素 / 塩素 / 土壌 / 大気降下物 / 河川水 / フルボ酸 / イオンクロマトグラフィー |
Research Abstract |
奥多摩地域で上流部に人家・畑などの直接的な人間活動のない沢を選び,数回にわたって沢水を採取した.これと平行して,同じ地域で大気降下物(bulk precipitation)も捕集した.これらの分析値に基づいて降下してから流出するまでのClとBrの挙動を研究した.水の蒸発散率,森林による大気浮遊粒子の捕集効率をこれまでの実測値から与えると,降下したClはすべて沢水中に出現することが推定された.これに対してBrについては,降下物中のBr/Cl比と比較して沢水中のBr/Cl比がかなり小さいことから,Brを含む降水が土壌中を浸透する間にその一部が吸着除去されることが推定された.土壌による吸着を立証するために,土壌中のCl,Brを放射化分析によって定量し,土壌へのBrの濃縮を認めた.また,ClとBrを含む水溶液中に土壌を懸濁し,一定時間経過後に上澄液を分析した.この結果からもBrが選択的に土壌粒子上に吸着されることが確かめられた.土壌粒子によるBrの吸着には有機物の関与が推定されたが,ある断面から系統的にサンプリングした土壌試料の有機炭素含量とBr含量との間にはっきりした相関は見出されなかった.ただし,一般的にいえば,有機物に富む土壌はBr含量が高い傾向のあることから,有機物を含む土壌のモデル物質を合成し,これを用いてBrの吸着を定量的に扱うことを準備中である.この物質は市販フミン酸から抽出したフルボ酸を無機担体に結合させたものである.無機担体はシリカゲルに希アルミニウム塩水溶液を作用させて合成した.シリカ表面のAlはフルボ酸を結合する能力がある.現在,フルボ酸/Al/シリカゲル結合体のキャラクタリゼーションを行っている.このほか,土壌中のCl,Brのイオンクロマトグラフ法による定量も検討中である.
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