1987 Fiscal Year Annual Research Report
熱蛍光現象を利用した新しい希土類分析法と地球化学試料の産地推定法の開発
Project/Area Number |
62470032
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋本 哲夫 新潟大学, 理学部, 教授 (50027439)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 久昭 新潟大学, 理学部, 助教授 (30170004)
|
Keywords | 熱蛍光 / 希土類元素 / 天然石英 / 中性子放射化分析 / 電子スピン共鳴吸収 / ゾルーゲル法 / 石英ガラス / 瞬間スペクトル測定 |
Research Abstract |
白色鉱物として天然石英を用い, 中性子放射化分析法による含有微量不純物の同定定量を行なうとともに, これら30種以上の産地の異なる石英試料の熱蛍光特性をグローカブや蛍光スペクトルの測定, 更には電子スピン共鳴吸収法(ESR)を用いて捕捉電子や正孔に関する興味ある知見を得た. すなわち報告者らは世界に先駆けて天然石英からの熱蛍光色に, 従来報告されていた青色発光の他に赤色発光のものが存在することを見い出した. これら二群に大別される発光色はこの地殻上に存在する石英に普遍的であることも, 世界各地より集めた石英を使用した研究から結論付けることが出来た. 発光色自体は, 石英試料の物理的条件には殆んど左右されないことから, 更には不純物のみを混入した石英ガラスの実験をも加味し, 発色を異にする原因は石英中に含まれる微量不純物に由来することをつきとめた.これら不純物を放射化分析で同定定量したところ, 典型元素や遷移金属元素・アクチノイド元素には, 必ずしも明瞭な赤・青発光石英群間には差異は認められなかった. 大きな差異が見出されたのは希土類元素群であり, 特に軽希土類元素間に著るしい差が存在していた. すなわち赤色発光群は, 軽希土類元素が青色群と比較して10倍以上多く含んでおり, 特にEuについては赤色群は正のアノーマリ, 青色群は負のアノーマリーを示していた.そこでゾル・ゲル法を用いてこれら不純物を混入した石英ガラスを作製し, 熱蛍光特性を調べて見たところ, Eu(III)を混入させたものは確かに赤色発光を示したことから, Eu(III)が深く赤色に関与していることが分かった. 青色発光については, ESR測定から, Al(III)による正孔が示唆され, これもAlを混入させた石英ガラスから青色発光を確認することが出来た.微弱熱蛍光スペクトル測定用の極微弱光瞬間測システムを使用した実験もようやく1回目の測定が完了し,来年度はより詳しいデータが期待される段階である.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] T.HASHIMOTO: Nuclear Tracks and Radiation Measurements. 13. 57-66 (1987)
-
[Publications] T.HASHIMOTO: Journal of Radioanaltical and Nuclear Chemistry,Articles. 120. 185-193 (1988)
-
[Publications] 橋本哲夫: ぶんせき. 204 (1988)
-
[Publications] T.HASHIMOTO: Nuclear Tracks and Radiation Measurements. (1988)