1988 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体における配位子交換反応の光誘起効果-レーザー照射NMR法の開発-
Project/Area Number |
62470039
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
富安 博 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50016854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 雅幸 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教務職員 (20156516)
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Keywords | ウラニル錯体 / 反応と機構 / NMR / レーザー化学 |
Research Abstract |
本研究はウラニルを中心に金属錯体の配位子交換反応に対する光誘起効果を調べ、励起状態の反応性とその機構を明らかにすることを目的とする。特に、レーザー照射NMR装置を開発し、従来の方法では研究できなかった比較的に反応活性な配位子交換に対する光誘起効果を調べることを試みた。この装置では、アルゴンレーザー光を光ファイバーケーブルにより本研究で新しく開発した温度制御気送管に通す。気送管には試料管の温度を制御するため空気が流入する空間があるが、この空間を利用してレーザー光は試料管に照射される。この方法により光量の損失が比較的に少なく、しかも定常的な光照射が可能であることが分かった。また、ファイバーケーブルには改良の余地があるが(レーザー出力を上げるとファイバーケーブルは損傷し、時には切断する)、レーザー光を試料管に照射しながらNMR測定することに成功しており、当初の目的は達成されている。種々のウラニル錯体の励起状態に関する研究は窒素レーザーを用いたレーザーフォトリシス法により順調に進んでいる。研究対象とした錯体は加水分解種(UO_2)_2(OH)_2^2^+、フルオロ、硫酸およびリン酸の各錯体である。これらの錯体では、励起寿命はいずれも水和イオンのそれよりも著しく長く、また消光剤(Cl^-,Br^-,I^-,NCS^-)による消光速度定数(dm^3mol^-^1S^-^1)も励起水和イオンに比べて小さいことが分かった。このことは、これらの錯体が励起状態においても錯形成をしており、励起状態における配位子交換反応の速度はこれらの錯体の励起状態の寿命よりも遅いということを示している。さらに、これらの反応に対する定量的な研究はレーザー照射NMR法により現在進行中である。
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Research Products
(1 results)