1988 Fiscal Year Annual Research Report
二核遷移金属錯体の設計・開発による低分子の活性化状態および磁気的相互作用の研究
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62470040
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上原 章 金沢大学, 理学部, 教授 (30019484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 良訓 金沢大学, 理学部, 助手 (70115210)
鈴木 正樹 金沢大学, 理学部, 助教授 (20091390)
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Keywords | 二核モリブデン錯体 / 二核マンガン錯体 / 二核クロム錯体 / 窒素分子の活性化 / 水の酸化触媒 / 磁気的相互作用 |
Research Abstract |
(1)二核モリブデン錯体の分子設計と配位窒素分子の固定ー配位室素分子をアンモニアに変換するのに要する6電子を供給するのに、ジニトリル(L)を架橋配位子とする二核モリブデン窒素分子錯体μーLー[Moー(N_2)(bpbp)_2]_2(bpbp:2,2′ービス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル)を合成し、配位窒素分子の活性化について調べた。その結果、今回得た二核錯体では、錯体ーモルあたり少量のアンモニアの発生が観察された。このことから、二核することによって、より効果的に配位窒素分子を固定できることが判明した。(2)二核形成配位子を含む二核鉄およびマンガン酸素錯体の設計・開発と酸素結合状態の究明ーヘムエリスリン、光合成系IIには二核あるいは四核の鉄あるいはマンガン錯体が関与していることが知られており、種々の酸化状態にある鉄およびマンガン錯体の分子設計は、重要な無機化学の課題である。今年度は、新規な二核化配位子であるトライポッド型トリス(2ーピリジルメチル)アミンを含む鉄およびマンガンの混合原子価錯体を得た。これらの錯体のうち二核マンガン錯体は、水溶液中で気体を発生するが、酸素ではなかった。これらの結果にもとづき、来年度は、常温で水を酸化して酸素を発生する錯体の分子設計をおこなう。(3)直線状シアン化物イオンを架橋配位子とする特異な磁気的相互作用を有する二核クロム(III)錯体の設計・開発ー一個のシアン化物イオンで架橋したtransーM[Fe(en)_2Cr(NC)Cr(CN)_5]型錯体(M:Na、K、Cs)を得ることに成功した。これらの錯体の磁化率の温度変化を測定したところ、クロムークロム間には反強磁性相互作用がはたらいていることが判明した。その相互作用の程度は、オキソ架橋錯体よりは小さいが、水酸化物イオン架橋錯体と同程度であった。しかし、構造などの詳細については疑問点もあり、来年度はcis-M[Fe(en)_2Cr(NC)Cr-(CN)_5]錯体および[(H_2O)(en)_2Cr(NC)Cr(CN)_5]錯体の新規合成をおこなう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Johda;M.Suzuki;A.Uehara: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 62. 738-744 (1989)
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[Publications] M.Kaneda;M.Suzuki;A.Uehara: Thermochim.Acta,. 138. 161-166 (1989)
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[Publications] M.Suzuki;H.Oshio;A.Uehara;K.Endo;M.Yanaga;S.Kida;K.Saito: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 61. 3907-3913 (1988)
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[Publications] M.Suzuki;H.Senda;Y.Kobayashi;H.Oshio;A.Uehara: Chem.Lett.,. 1988. 1763-1766 (1988)
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[Publications] M.Fushimi;M.Suzuki;A.Uehara: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 61. 1809-1811 (1988)
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[Publications] M.Suzuki;S.Tokura;M.Suhara;A.Uehara: Chem.Lett.,. 1988. 477-480 (1988)