1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470042
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Research Institution | Faculty of Science, Osaka City University |
Principal Investigator |
大井 俊一郎 大阪市立大学, 理学部, 教授 (00046913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 勇 大阪市立大学, 理学部, 助手 (80128735)
松本 圭司 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (50047164)
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Keywords | 白金錯体 / 二核白金(II)、(III)錯体 / 異性体 / 多核錯体 |
Research Abstract |
昭和63年度科学研究費補助金交付申請書に記載した実施計画に従って研究を進めた。 1.4S-異性体の合成に成功すれば、重なり型二核錯体についての異性体系が完成することになるので、これの合成には多大の努力を重ねたが、まだ残念ながら単離するに至っていない。trans-〔Pt_2I_2(4mpyt)_4〕のX線解析によるとS原子はPt(II)錯体の場合同様Pt(III)錯体においても大きなトランス効果を示すことが見出された。4S体ではこの効果のためPtS_4部分が不安定であるため生成し難いと思われる。 2.合計23種類のcis,trans,3s異性体を合成単離し、それぞれの電子スペクトル、^1H、^<13>C、^<195>Pt NMRデータ等の基本データを集めた。電子スペクトルには明瞭に異性体の構造が反映されていることが分かったが解析にはXα法による計算が必要である。経験的ではあるが^1HNMR化学シフトから的確に異性体を識別する規則を発見することができた。^<195>Pt化学シフトの分析を試みたが、単体金属錯体に適用されてきた方法では、説明できないことが分かった。おそらくPt^<III>-Pt^<III>結合の影響が大きいためであろう。 3.〔XPt(4-mpxt)_4Pt(CN)〕型の錯体を9種類単離し、^1Jpt-Pt等のデータを集めることができた。これら錯体は〔Pt_2X_2(4-mpyt)_4〕から置換反応やX=CN錯体のI_2酸化で得たが反応は常にPtN_3S側で起こることが明らかになった。 4.ピリジン-マージフェニルホスフィンのPt(II)錯体の合成に向けての努力は成功していない。上記Pt_2^<6+>錯体の性質とPd_2^<6+>錯体の性質の研究は本研究の将来への発展に向けて不可欠なので、Pd_2^<6+>錯体の合成へ向けての検討を行った。〔Pd_2(pyt)_4錯体の電気化学的性質を調べたところ、同錯体の電気化学的酸化によりPt_2^<6+>錯体が生成するが、対応するPt_2^<6+>錯体にくらべ著しく不安定であることがわかった。(4-mpyt=4-メチルピリジン-2-チオレート^<1->、PXt=ピリジン-2-チオレート^<1->)
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Research Products
(1 results)