1988 Fiscal Year Annual Research Report
ウラン系列核種間の放射非平衡系を利用した地質年代測定に関する研究
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62470047
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大村 明雄 金沢大学, 理学部, 助教授 (70019488)
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Keywords | 北大東島 / 南大東島 / 与那国島 / 喜界島 / 最終間氷期 / 日本海海底堆積物 / ウラン同位体 / トリウム同位体 |
Research Abstract |
後期更新世以降の地殼変動解析が充分ではない南西諸島の3島(北大東島・南大東島・与那国島)から、それぞれ42・48・52個の年代測定試料を収集するとともに、それらの^<230>Th/^<234>U年代を求めた。その結果、3島に共通して、最終間氷期に形成された石灰岩体が、現在の海抜高度20m以下の海岸線付近のみに分布し、それら3島の過去13万年間の降起量が、喜界島に比較して1桁少ないことが確証された。与那国島から、"penultimate interglacial"期相当の^<230>Th/^<234>U年代を初めて得、変動速度に若干の差は認められるものの、本島が波照間島と同様、21万年前から降起傾向にあることが明白になった。降起環礁として知られる南北大東島では、約8m迄の高度に最終間氷期を指示する現地性サンゴが産出することから、僅かながら、過去13万年間に両島が降起したことを推論することができた。しかし、元来環礁として発達してきた両島が、現在のように海上に姿を露わすことになった降起運動は、上記の結果から、極めて遅いものだったと考えられる。 日本海海底堆積物中の"authigenic"なUおよびTh同位体組成の変化を、隠岐堆で採取されたKH-79-3-C3ピストンコアを用いて、約8万年間を30層準に分割して詳細に検討したところ、同位体組成と堆積物構成要素(砕屑物の鉱物組成・生物源炭酸カルシウム量および有機物含有量)との関係から、日本海の場合、UおよびTh同位体組成の変化が、海底環境の変化を知る上で極めて有効なことが明らかになった。 本年度、幸いにも、南カリフォルニア大学(USC)地球科学教室に滞在の機会が与えられ、同教室Teh-Lung Ku教授ほかのスタッフとともに、最近10年間各国の研究グループで用いられてきたU・Th同位体分析のための試料処理方法を総括し、それらの検討から、現在のところ最も簡便で効率の良い方法の確立に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 河名俊男,中田高,大村明雄: 第四紀研究. 26. 155-158 (1987)
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[Publications] 板谷徹丸,今井登,大村明雄,鈴木正男,中井信之,蜷川清隆,広岡公夫: 地質学論集. 29. 1-4 (1988)
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[Publications] 大村明雄: 地質学論集. 29. 107-127 (1988)
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[Publications] 大村明雄: 地質学論集. 29. 253-268 (1988)
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[Publications] 大村明雄,河合貞行,玉生志郎: 地質調査所月報. 39. 559-572 (1988)
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[Publications] Yoko Ota;Akio Omura;Hideki Iwata: New Zealand Journal of Geology and Geophysics.