1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470049
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
有馬 眞 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (10184293)
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Keywords | キンバーライト / マグマ / 実験岩石学 / 相平衡 / 高温高圧 / 炭素同位体 |
Research Abstract |
昨年度購入した高圧発生装置(ピストン・シリンダー型)を用いて、珪酸塩鉱物と岩石資料の相平衡や人工鉱物の合成を行った。同時に北米に産出する二〜三のキンバーライトとその中に含まれる上部マントル起源のゼノリスの岩石学的・地球化学的特徴について検討した。以上の研究から得られた知見・成果は次の様なものである。 1.無斑晶キンバーライトはマグマの科学組成に近似される。無斑晶キンバーライトを用いてマグマの相平衡を上部マントル条件の温度圧力下で実験的に決定した。液相線でかんらん石、スピネルが晶出する。斜方輝石、ざくろ石は出現しない。方解石とドロマイトが出現する。上部マントルを構成すると考えられる、ざくろ石レルゾライトとこのキンバーライトマグマは平衡にない。方解石を含む交代作用により生成した特異なマントル物質の部分融解でキンバーライトが生成した可能性がある。 2.カナダ東部に産出するキンバーライトは鉱物学的に従来知られていたキンバーライトの特徴と異なるがその化学的、同位体化学的性質からキンバーライトマグマの生成物である事が明らかになった。炭素同位体比はこの岩石中の高いCO_2値が上部マントル起源であり導入母岩である石灰岩質堆積岩とは明らかに区別される事を示している。マグマの結晶作用が異なった条件下で種々の鉱物学的特徴を持つキンバーライトを生成すると考えられる。 3.現在までに知られていた金雲母のBa含有量の約4倍(4.2WT.%)をもつMgやNaにも富んだ金雲母がキンバーライト中の捕獲岩から発見された。金雲母中のBa/K比は大陸に産出するアルカリ火山岩のそれとほぼ等しく、上部マントルでBaやKが金雲母中に主に存在する事が明らかになった。今後より高圧下(750Kb)でのキンバーライトの相平衡に関する研究が必要である。
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[Publications] Arima、M.:Kerrich、R.: Contributions to Mineralogy and Petrology.99. 385-391 (1988)
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[Publications] Arima、M.: Journal of Mineralogy、Petrology and Economic Geology. 83. 217-231 (1988)
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[Publications] Edgar,A.D.:Arima,M.:Baldwin,D.K.:Bell,D.R.:Shee ,S.R.:Skinner,E.M.W.Walker,E.C.: American Mineralogist.73. 524-533 (1988)
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[Publications] Arima、M.Isozaki,S: Science Report of Yokohama National University Sec.II.35. 81-98 (1988)
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[Publications] 大田宏、有馬眞: 横浜国立大学、教育学部・野外教育実習施設研究報告. 7-18 (1988)
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[Publications] 有馬眞,今橋健彦: 横浜国立大学、教育学部・野外教育実習施設研究報告. (1989)