1987 Fiscal Year Annual Research Report
溶融カルシウム・アルミネート系スラグの熱力学的研究
Project/Area Number |
62470053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萬谷 志郎 東北大学, 工学部, 教授 (90005223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 光兀 東北大学, 工学部, 助教授 (10091729)
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Keywords | カルシウム・アルミネート系スラグ / 溶銑予備処理 / 脱りん / 脱硫 / DaOーAl_2O_3ーFexoyフラックス |
Research Abstract |
CaOーAl_2O_3系を主成分とするスラグは従来金属製錬であまり問題とされていなかったため十分な研究は行われていない. しかし最近に到り溶鋼の2次精錬スラグとして注目されるようになった. 本研究はCaOーAl_2O_3系スラグの酸化性及び強還元性における精錬特性を研究することを目的としている. 酸化性スラグしとしてはCaOーAl_2O_3ーFexOy系フラックスの溶銑,溶鋼の脱りんへの利用について,還元性スラグとしてはAl脱酸剤とCaOーAl_2O_3系スラグの組合せによる製鋼過程での脱酸能,脱硫能,水蒸気溶解量,不純物吸収能などを平衡論的な立場より研究して,高純度鋼精錬に関する基礎資料を提出すると共に,その精錬限界を明らかにすることを目的としている. そこで本年度は先ず,1300〜1400℃,Ar雰囲気下,MgO坩堝中で溶解した4.2%Cー0.14%Pー0.05%S(Si,Mn:trace)の銑鉄について,1ton当り40kg相当のCaOーAl_2O_3ーFexOy系フラックスを用いて溶銑の脱りん脱硫を行ない次の結果を得た. (1)CaOーAl_2O_3ーFexOy系フラックスの脱りん,脱硫剤としての最適組成はCaO/Al_2O_3配合比が3/1〜9/1,FexOy配合率50%である. (2)CaOーAl_2O_3ーFexOyフラックスは脱りん用フラックスしとて,実操業で現用されているCaOーCaF_2ーFe_2O_3系,CaOーCaT_2ーCaCl_2ーFe_2O_3系フラックスと同等の能力を有している. (3)CaOーAl_2O_3ーFexOy系フラックスの脱硫率は20%程度であり,CaOーCaF_2ーFe_2O_3系,CaOーCaF_2ーCaCl_2ーFe_2D_3系フラックスの脱硫率と比較するとかなり低く,脱硫は期待できない. (4)CaOーAl_2O_3ーFeOy系フラックスを使用した場合,MgO坩堝の侵食は極めて少なく,本系フラックスは耐火材をほとんど侵食しないことが期待される. (5)SiO_2は脱りん,脱硫に悪影響を与え,フラックス中のSiO_2含有量はできるだけ少量にした方が良い.
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[Publications] 萬谷志郎: 鉄と鋼. 73. S241 (1987)
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[Publications] Shiro.BAN-YA: W.O.Philbrook Memorial Symposium Proceedings,ISS of AIME. (1988)
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[Publications] 萬谷志郎: 鉄と鋼. 74. (1988)