1987 Fiscal Year Annual Research Report
超高速パルス法を用いた極微小薄膜電極の電荷移動の評価に関する研究
Project/Area Number |
62470071
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小山 昇 東京農工大学, 工学部, 助教授 (40134845)
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Keywords | 極微小電極 / 超高速パルス / 電荷移動反応 / ボルタモグラム / 電極反応速度定数 |
Research Abstract |
本研究は, 径が数μmの極微小電極を作製し, さらに, μsecオーダーの電気化学的超高速パルス測定装置を作製しこれを用いて, この界面で起こる電荷移動反応および物質移動を定量的に評価することを目的に行われている. さらに, この極微小電極表面を化学修飾し, この界面で起こる電荷移動を評価し機能性電極の開発を行う. 本年度は, 直径5.2μmの導電性炭素繊維できた電極の作製に成功し, この電極を用いて溶存基質としてFe(CN)^<3-14->_6,W(CN)^<3-14->_8を用いてボルタンメトリーの測定を行い,その電流ー電位曲線の挙動を調べた. さらに, 高速の電位掃引器および高速のポテンシォスタットを作製し, 5VS^<-1>から50,000VS^<-1>までの速度範囲で電位掃引が可能な超高速のボルタンメトリーを確立した. 上記の極微小電極と超高速ボルタンメトリーとを組み合わせることにより, 非常に速いため測定が困難であった測定系の電極反応速度定数を比較的安易に測定できることを見い出した. 使用前に電極表面を物理的化学的研摩・前処理を行うが, 得られる電流ー電位曲線はその前処理条件の影響を強く受けるので前処理法の確立を計った. 次に微小電極を用いたFe(CN)^<4->_6錯体の酸化反応では, 得られるサイクリックボルタモグラム(CV)は遅い電位掃引ではS字形となり,限界電流値(ilim)は溶存種の濃度に比例した. 速い電位掃引速度を用いた時得られるCVは, 大きい面積の電極でかつ遅い電位掃引で得られる通常のピーク電流値をもつ形と同じになった. このピーク電流値は, 電位掃引速度の平方根に正比例し, かつ酸化ピーク電位値と還元ピーク電位値は, 速い電位掃引速度を用いた領域で掃引速度に比例して大きくなったので,この広がりから標準電極反応速度定数(Ko)を求めた. 大きなKoの値をもつ水溶液中のW(CN)^<3-14->_8錯体,Moー(CN)^<3-14->_8錯体, および非水溶液中のフェロセン, アントラセンのKoの値を上記方法により求めることに成功した.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Noboru Oyama: J.Electroanal.Chem.217. 239-251 (1987)
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[Publications] Takeo Ohsaka: J.Phys.Chem.91. 3775-3779 (1987)
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[Publications] Noboru Oyama: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1133-1134 (1987)
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[Publications] Noboru Oyama: Macromol.(1988)
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[Publications] Noboru Oyama: Bull.Chem.Soc.Japan. (1988)
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[Publications] Noboru Oyama: J.Chem.Soc.Perkin Trans.2.(1988)
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[Publications] 小山昇: "表示材料面技術-エレクトロクロミック表示素子" リアライズ社, 73-86 (1987)
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[Publications] 小山昇: "現代電気化学法-基礎マニアル" 講談社サイエンティフィック, (1988)