1988 Fiscal Year Annual Research Report
特異な電子構造をもつ新しい電子系の合成と物性に関する研究
Project/Area Number |
62470085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 善一 京都大学, 工学部, 教授 (60025814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 定雄 京都大学, 工学部, 助手 (30135537)
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助教授 (30093256)
田丸 良直 長崎大学, 工学部, 教授 (80026319)
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Keywords | 環状テトラカリセン / 分極 / 歪アントラキノン / 光原子価異性 / ヘミヂュワーアントラキノン / 1、3ージチオール〔5〕ラジアレン / レドックス |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年であったので、前年度の結果を考察・吟味し、さらに新しい研究を追加することにより本研究課題の完成を目指した。得られた成果の概要を以下に示す。 1.カリセン分子が2あるいは3個head-to-tail型に結合した環状ビ-及びトリ-カリセンのジ(tert-ブチルチオ)置換体さらに無置換体の合成はすでに成功している。本年度ではカリセン分子がさらに1個多い環状テトラカリセンのジ(tert-ブチルチオ)ー及びモノ(tert-ブチルチオ)置換体を得ることができた。これらの環状テトラカリセンの電子構造を^1Hー及び1^<13>CーNMR、酸化還元電位等の実験結果、312MO法あるいはグラフ理論法による計算結果より考察したところ、環状ビ-及びトリ-カリセンの場合と全く同様に環状テトラカリセンにおいつも、各カリセンユーットが分極し、その大きさも同程度があることが示された。 2.1,2,3位に嵩高い置換基を有する3環性芳香税及び関連体の合成と電子構造について検討した。特に、1,2,3位にtert-ブチル基を導入したアントラキノンについて詳細な研究を行なったが、その誘導体では最低励起ー、二重項ともππ^*性という新しい性質をもち、それに対応しつ光照射によりヘミヂュワーアントラキノンに異性化することを見出した。 3.これまでに電子供与性の〔3〕ー、〔4〕ー、そして〔5〕ーラジアルを合成した。本年度では1、3ージチオール置換〔5〕ラジアレンを比較的短ステップでかつ好収率で得ることに成功した。この〔5〕ラジアレンは見掛ヒノステップで4電子が移動するこれまでに先例のないレドックス挙動を示した。
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[Publications] Sadao Miki,Kohji Matsuo,Masahiro Yoshida,Zen-ichi Yoshida: Tetrahedron Letters. 29. 2211-2214 (1988)
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[Publications] T.Nakayama;T.Yamaguchi;S.Miki;K.Matsuo;Z.Yoshida: Chemical Physics Letters. 148. 259-263 (1988)
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[Publications] T.Sugimoto;Y.Misaki;Yoshi-da;Y.Kai N.Kasai: Journal of the Chemical Society. 110. 628-629 (1988)
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[Publications] Zen-ichi Yoshida;Toyonari Sugimoto: Angewandte Chemie International Edition in English. 27. 1573-1577 (1988)