1988 Fiscal Year Final Research Report Summary
ヘテロ原子の特性を利用した複素環の合成新手法と機能開発研究
Project/Area Number |
62470088
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 宏 九州大学, 工学部, 教授 (10037715)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 進二郎 九州大学, 工学部, 助手 (20037831)
磯村 計明 九州大学, 工学部, 講師 (80037887)
|
Project Period (FY) |
1987 – 1988
|
Keywords | ヘテロ原子 / 複素環化合物 / ビニルハライド / ビニルカチオン / イプソ置換反応 / 複素環を含む両親媒性化合物 / 有極性薄膜 |
Research Abstract |
ヘテロ原子の特性を利用した複素環の新しい合成手段と機能の開発を目的に本研究を行なった。以下に、その成果をまとめると、 (1)β位にオルトヘテロ原子置換フェニル基を有するビニルハライドの光反応によりベンゾフラン、ジベンゾオキセピン、ベンゾチオフェンなどの複素環化合物が得られる合成法を見い出した。さらにヘテロ原子の特性により、この環化反応が制御されることを明らかにしたこと (2)複素環への環化反応がα位の置換基効果により著しく影響を受けることを明らかにしたこと (3)pーアルコキシフェニル基により安定化されたビニルカチオンにおいてアルコキシドアニオンを求核剤として用いることにより、イプソ置換反応が起こり、イプソ付加体が高収率で単離されるという画期的な成果が得られたこと (4)その他の反応として、超原子価ヨウ素原子を有するアセチレン体と求核剤との反応が容易に起こることを見い出し、合成手段として有用であるという成果を得たことに大別される。 (5)フェニル基に直結する複素芳香環に直鎖アルコキシ基とカルボキシル基を付した両親媒性化合物を合成し、気液界面上の単分子膜生成能を評価し、複素環が及ぼす分子組織化の影響についての指針を得た。 以上のように、独自に開発した反応性に乏しい不飽和化合物の求核置換反応を研究対象とし、巧みに複素環合成に利用できた。更に、機能開発のための分子集合体形成に及ぼす構造因子を明らかにすることができた。このような分子レベルでの基礎的研究は、種々の機能開発には必須で、今後、機能開発を目的とした新反応の開拓を検討していく予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 谷口宏: 有機合成化学. 45. (1987)
-
[Publications] T.,Kitamura: Chem.Lett.1637-1638 (1988)
-
[Publications] T.,Kitamura: Chem.Lett.1951-1954 (1988)
-
[Publications] T.,Kitamura: Tetrahedron Lett.29. 6141-6142 (1988)
-
[Publications] P.J.,Stang: J.Am.Chem.Soc.109. (1987)
-
[Publications] P.J.,Stang: J.Am.Chem.Soc.110. (1988)