1988 Fiscal Year Annual Research Report
結晶性高分子鎖を含むブロック共重合体のミクロ構造の研究
Project/Area Number |
62470092
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芦田 玉一 名古屋大学, 工学部, 教授 (10029936)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 修一 名古屋大学, 工学部, 助手 (20156194)
|
Keywords | ブロック共重合体 / ミクロ構造 / 結晶化 / 小角X線散乱法 |
Research Abstract |
本年度の研究実績を研究実施計画に従って箇条書きする。 1. ポリ(εーカプロラクトン)(PCL)/ポリスチレン(PS)2元ブロック共重合体の合成とキャラクタリゼーション。アニオン重合法によりまずPSを重合し、つづいてPCLを重合した。得られた生成物を各種溶媒により精製して目的のブロック共重合体を得た。GPCと元素分析の結果、生成物中には仕込み量に比例したPCL/PS2元ブロック共重合体が存在することが示された。又、分子量分布は1.2〜1.4であり、必要に応じて分別を行った。 2. X線小角散乱(SAXS)法によるミクロ構造の決定。PCL/PSブロック共重合体の作るミクロ構造をSAXS法により調べた。まずミクロ相分離温度を調べるために、均一状態からのcorrelation hole effectによる散乱極大を測定し、理論的予想と比較した。その結果、極大値の温度依存性、及び、極大を与える波数の値より、系中に単独重合体が混在していることが明らかとなった。PCLの結晶化により形成される結晶領域からの散乱は再現性良く観測できたが、ミクロ相分離構造からの散乱は観測できなかった。 3. 分子量、ブロック長の異なる共重合体の合成。分子量、ブロック長、精製方法の異なる種々のPCL/PS共重合体を合成した。SAXS測定の結果、単独重合体の混入は避けられないことがわかった。 4. 結晶化に与えるミクロ相分離構造の影響。SAXS測定の結果より、系中ではPCLの結晶化に起因する高次構造が顕著に現われ、結晶化の駆動力がミクロ相分離のそれと比べて非常に大きいことがわかった。現在、結晶化とミクロ相分離による高次構造について詳細を検討中である。 5. 今後の計画 単独重合体の混入がSAXS法によって得られた実験結果の解釈をむづかしく、かつ、あいまいにしている。現在、結果の詳細について検討すると共に、異なる重合方法を用いることによって、単独重合体の混在しない2元ブロック共重合体を合成中である。
|
-
[Publications] S.Nojima;K.Watanabe;Z.Zheng;T.Ashida: Polymer Journal. 20. 823-826 (1988)
-
[Publications] Z.Zheng;S.Nojima;T.Yamane;T.Ashida: Polymer Journal. 21. 65-76 (1989)
-
[Publications] Z.Zheng;S.Nojima;T.Yamane;T.Ashida: Macromolecules. (1989)