1988 Fiscal Year Annual Research Report
新重合反応によるポリ(β-ケトン)の合成とその応用
Project/Area Number |
62470098
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 四郎 東北大学, 工学部, 教授 (10026198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇山 浩 東北大学, 工学部, 助手 (70203594)
徐 卿道 東北大学, 工学部, 助手 (80196675)
正田 晋一郎 東北大学, 工学部, 講師 (10143364)
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Keywords | ポリ(β-ケトン) / 遷移金属触媒重複 / イソプロポキシアセチレン / t-ブトキシアセチレン |
Research Abstract |
構造明確なポリ(β-ケトン)を合成する新しい手法として、1)アルコキシアセチレンを単独重合され、2)生成ポリ(アルコキシアセチレン)を酸性条件下で加水分解する方法を詳細に検討した。アルゴン雰囲気下イソプロポキシアセチレンあるいはt-ブトキシアセチレンをV族あるいはVI族遷移金属触媒を用いて重合させたところ、目的とするポリ(アルコキシアセチレン)が得られることを見出した。生成ポリマーの分子量は反応温度に影響され、高温での反応の方が分子量が増加した。ポリ(イソプロキシアセチレン)は、アサトン、クロロホルム等の有機溶媒に可溶の褐色粉末であり、^1H、^<13>C-NMR、IRスペクトルの測定により目的とする構造をしていることが確認された。一方、t-ブトキシアセチレンの重合により得られたポリマーは目的の構造の他にt-ブチル基が脱離もしくは転移したユニットを含むことが分った。これは触媒の酸性度が高すぎるために副反応が進行したものと考えられる。そこで塩素原子をメトキシ基で置換したより酸性度の低い触媒を調製し、同様の反応を試みた。その結果WCl_2(OM_<e3>)_4を用いると、副反応ユニットの生成が押えられ、ほぼ目的とするユニットのみを持つポリマーが得られることを見出した。次に、生成ポリマーのジオキサン溶液を湿度温で塩酸処理することにより加水分解反応を試みた。ポリ(イソプロポキシアセチレン)はほとんど加水分解されないのに対し、ポリ(t-ブトキシアセチレン)は、24時間でほぼ定量的に加水分解を受け、目的とするポリ(β-ケトン)を与えることがIRスペクトルで1150cm^<-1>付近のエーテル吸収が完全に消失し、新たにガルボニル期の吸収が現れることにより確かめられた。以上、ポリ(β-ケトン)の合成に関し詳細に検討した結果、アルコキシアセチレンの重合および生成ポリマーの加水分解により構造明確なポリ(β-ケトン)を得ることに、初めて成功した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] S.Kobayashi;M.Kaku;T.Sargusa: Macromalecules. 21. 334-338 (1988)
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[Publications] S.Kobayashi;M.Kaku;T.Saegusa: Macromalecules. 21. 1921-1925 (1988)
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[Publications] S.Kobayashi;S.Iwata;S.Shoda: Chem.Express. 4. 41-44 (1989)
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[Publications] S.Kobayashi;K-D,Suh;Y.Shirokura: Macromolecules. 22. (1989)
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[Publications] S.Kobayashi;E.Masuda;S.Shoda;Y.Shimano: Macromalecules. 22. (1989)
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[Publications] S.Kobayashi;H.Uyama;M.Ogaki;T.Yoshida;T.Saegusa: Macromalecules.
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[Publications] S.Kobayashi;J.Kadokawa;I-F.Yen;S.Shoda: Macromalecules.
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[Publications] S.Kobayashi;H.Uyama;N.Higuchi;T.Saegusa: Macromalecules.
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[Publications] 小林四郎、周徳元: "「無機物質とポリマーの相互作用」" 工学情報センター出版部, 275-310 (1988)