1989 Fiscal Year Annual Research Report
NADP(H)と保持しうる荷電膜バイオリアクタ-による有用物質の生産
Project/Area Number |
62470113
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 史郎 広島大学, 工学部, 教授 (70013307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 尚道 広島大学, 工学部, 助教授 (30034383)
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Keywords | NADH再生系 / メタン生成菌 / Methanosarcina barkeri / ヒドロゲナ-ゼ / シスチン / システイン / 固定化菌体 / 水素による生化学的還元 |
Research Abstract |
最終年度の本年度は、NADH再生系と反応系について検討し、本システムの汎用化を図った。具体的には、メタン生成菌、Methanosarcina barkeriを用いて、H_2・ヒドロゲナ-ゼ系による、1.NADH再生系の確立、2.シスチンのシステインへの変換系の開発について検討し、NADP(H)を保持しうる荷電膜バイオリアクタ-による有用物質生産の汎用化を図った。以下にその研究成果を概要する。 1.NADのH_2・ヒドロゲナ-ゼ系によるNADHへの変換系について検討した。NADH生成の至適pHは8であり、電子キャリア-としてはメタン生成菌特有のF_<420>だけでなく、メチルビオロゲンで高いNADH生成が見られた。休止菌体を用いた場合、Triton Xー100やベンゼン等の有機溶媒で処理することによりNADH量は増加した。10mMのNADから水素存在下で約80%の変換率でNADHが得られた。H_2の代りにギ酸も利用できることを明らかにした。さらにアルギン酸カルシウムで固定し、ヘキサメチレンジアミンとグルタルアルデヒドで架橋処理した固定化菌体により安定な連続生産系が得られた。 2.ヒドロゲナ-ゼによるシスチンのシステインへの変換を試みた。メチルビオロゲンあるいはF_<420>の電子キャリア-存在下で、H_2によるLーシステインの生成が見られた。ヒドロゲナ-ゼの至適pHは10付近でLーシスチンの溶解度の上昇と併せて好都合であった。Triton Xー100で処理した休止菌体系で3mMのシスチンは100%(4ーhr反応)システインに変換された。また、休止菌体を限外濾過膜で反応槽内に保持することにより繰り返し利用が可能であった(変換率100%)。さらに1と同様にして得た固定化菌体系を用いて繰り返し回分反応によるシステイン生産を試みた結果、20回の反復利用(1回=8hr)が可能となった。
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[Publications] 西尾尚道: "Conversion of D-Xylose into Xylitol by Immobilized Cells of Candida pelliculosa and Methanobacterium sp.HU" 67. 356-360 (1989)
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[Publications] 永井史郎(分担執筆): "BIOPROCESS ENGINEERING the first generation(Chapter 20.Application of Methanosarcina barkeri cells for the production of useful chemicals)" ELLIS HORWOOD LIMITED, 12 (1989)