1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470121
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 真狩 東京大学, 農学部, 教授 (60011889)
|
Keywords | 枯草菌 / 遺伝子増巾 / ツニカマイシン耐性遺伝子 |
Research Abstract |
我々は枯草菌のツニカマイシン耐性変異株のうちで同時にαーアミラーゼの高生産性を付与された株の解析から,枯草菌において個有遺伝子の染色体上の遺伝子増巾現象をはじめて見出した.またこの遺伝子増巾は形質転換によって受容菌にも誘起することが出来,その形質転換DNAの必須構造を明かにしてきた. 本研究は更にこれまでの知見を敷街し,枯草菌染色体のどの領域においても遺伝子増巾を誘起しうる形質転換法の確立,外来遺伝子の枯草菌染色体上への増巾,およびこの遺伝子増巾現象を利用しての物質生産への応用を目的としている. またこの遺伝子増巾に関与するツニカマイシン耐性遺伝子の機能の解明もめざしている. 本年度はまず外来遺伝子の枯草菌染色体上の増巾を試みた. 我々は既に枯草菌に遺伝子増巾を誘起しうる形質転換DNAとして6.4kb EcoRI断片をクローン化している.この断片の一端にはamyE遺伝子の一部が存在する. この6.4kb Ecok[断片の中ほどに,pc/94プラスミド由来のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子catを挿入したものを作製し,このDNAを用いてamyE07変異をもつ枯草菌を形質転換し,amyE^+,Tm^r(ツニカマイシン耐性)の形質転換株を得たところ,外来遺伝子であるcatを枯草菌染色体上に約20コピー増巾させることに成功した. cat遺伝子が増巾することによってクロラムフェニコールに高度に耐性(40μg/ml)になっていた. cat遺伝子は1つの例でよって,同様に他の外来遺伝子を枯草菌の染色体上に増巾させることが可能となった訳である. ついで遺伝子増巾し際選択圧に耐える遺伝子としてツニカマイシン耐性遺伝子tmrBが必須の役割を果しているので,この遺伝子の機能の解明を試みた. 薬剤の修飾又は分解が最も可能性が高いと思われたが,しらべた限りではツニカマイシンの修飾や分解は全く起っていないことが判明した.
|