1987 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の気菌糸誘導物質と抗生物質生産制御に関する研究
Project/Area Number |
62470125
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸茂 晋吾 名古屋大学, 農学部, 教授 (30023394)
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Keywords | 放線菌 / 気菌糸 / 気菌糸誘導物質 / pamamycin |
Research Abstract |
我々はすでにStreptomyces albonigerの生産する気菌糸誘導物質pamamycin群には6種類以上の同族体が存在することを見いだしたが, 今年度はその内の分子量621を有する3種の異性体pamamycin-621A,B,Cの構造決定に成功した. 先ず, pamamycin-621群を種々のHPLCを用いて精製を試みたがpamamycin-607と完全に分離することが出来なかった. そこで, 少量のpamamycin-607を含むpamamycin-621群のマクロジオライド環をLiAlHで還元し, 分子を2種のアルコールフラグメントに分解した. 得られたアルコールを混合物のままp-Br-benzoateとした後, HPLCにより精製した結果, 側鎖部分を含む大きなフラグメントが2種類, 小さなフラグメントが3種類得られ, それらの構造を500MHz 2D ^<1.ニ>HーNMRとGCーMSにより決定した. 一方, 各フラグメントの生成比をGCおよび重量測定により決定し, 大小各フラグメントの組合せを分子量と生成比とから求めたところ, pamamycin-621には3種類の異性体が存在することが明かとなり, それらの構造を決定することができた. その構造上の差異はマクロジオライド環上のメチル基またはエチル基の置換位置だけであった. また, pamamycin-635の3種類の異性体をアミンを添加した溶出液を用いたHPLC(アミノプロピルシリカゲル)により分離することに成功した. そのうちのpamamycin-635Bは気菌糸誘導活性に示したが, pamamycin-635Aは活性を示さず逆に基中菌糸の生育阻害を起こし, 各異性体間には顕著な活性の違いがあることがわかり, 活性の構造との間に興味ある相関があることが明かとなった.
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