1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北御門 学 九州大学, 農学部, 教授 (90038167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 利芳 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40091368)
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Keywords | 海藻 / 細胞壁 / プロトプラスト / 海洋細菌 / βー1,3ーキシラン / ポルフィラン / サザエ / 中腸腺 |
Research Abstract |
本年度開発予定酵素のうち、寒天とkーカラゲナン分解酵素は海洋細菌Vibrio sp.Apー2によって、アルギン酸分解酵素はVibrio sp.Alー9によって産生されることが判明した。0.5%ペプトン、0.1%酵母エキス、3.0%Nacl及び0.3〜0.5%の各多糖を含む培地(pH7.4〜7.8)にこれらの細菌を接種して、25℃で4〜6日間培養した。得られた培養液から硫安分別沈殿とゲルろ過によって酵素標品を調整した。 また、サザエ中腸腺からアセトン乾粉を作り、その水抽出液の種々の多糖に対する分解酵素力を測定した。本抽出液は、kーカラゲナン、アルギン酸、セルローズ、βー1,4ーマンナン、及びβー1,4ーキシランに対する分解酵素力が強かった、しかし、寒天、フコイダン、ポルフィラン、及びβー1,3ーキシラン分解酵素力が低く、海藻細胞壁解酵素として使用するためには、これらの酵素を補充する必要があると推測した。 以上の結果、及び昨年度の研究結果を総合して、サザエ中腸腺の水抽出液にVibrio sp.Apー2が産生する寒天及びポルフィラン分解酵素とVibrio sp.Axー4が産生するβー1,3ーキシラン分解酵素を補充した酵素混液を使用すると、種々の海藻の細胞壁を溶解できると考えた。実験の結果、アオサやヒトエグサなどの緑藻、及びスサビノリやムカデノリの紅藻の細胞壁はこの酵素混液によって溶解し、多数のプロトプラストを遊離した。一方、褐藻の中にはこの酵素混液に対して抵抗性の強いものが多く、プロトプラストの遊離も少なかった。この原因の一つは、使用した酵素混液中のフコイダン分解酵素の不足であろうと推測された。なお、遊離した海藻プロトプラストは栄養補強海水中で培養すると再生し、今後の融合研究に使用できる可能性を示唆した。 フコイダン分解酵素を産生する微生物の探索は続行中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 青木恭彦: 日本水産学会誌. 54. 277-281 (1988)
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[Publications] 山口邦子: 日本水産学会誌. 55. 105-110 (1989)
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[Publications] 北御門学: 日本水産学会誌. 55. (1989)