1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470131
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鍵谷 勤 京都大学, 工学部, 教授 (00025826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 文章 京都大学, 工学部, 助手 (80176924)
西本 清一 京都大学, 工学部, 助教授 (10115909)
|
Keywords | トリアゾール環 / 含硫黄化合物 / 培養細胞 / チオアミド / チオール |
Research Abstract |
医療や材料科学などの分野における低線量放射線障害を予防するための高活性放射線防護剤の開発を目的として、放射線防護剤の新しい化学的スクリーニングシステムの確立をめざした研究を行い、次の成果を得た。 1.62年度において、チミン水溶液の放射線分解に対してチオール類およびアルコール類の防護効果が確認された。本年度は細胞浸透性ならびに生体内安定性を実験的に検討した結果、トリアゾールやイミダゾール環の側鎖に含硫黄官能基導入することが、防護作用を向上させることがわかった。そこで、2,3の含硫黄化合物を試験的に合成し、培養細胞における防護活性を検討した。 2.新規含硫黄放射線防護剤の合成 (1) Nー(2ーメトキシエチル)ー2ートリアゾリルチオアセトアミド(以下チオアミドと略す)の合成。1Hー1,2,4ートリアゾール(TA)とブロモ酢酸エチルを原料とし、3段階で目的物を得た。NMR,IR,元素分析により確認した。 (2) Nー(2ーメルカプトエチル)ー2ートリアゾリルアセトアミド(以下チオールと略す)の合成。べンジルメルカプタン,2ーブロモエチルアミン臭化水素塩、および(1)の中間生成物を用い、3段階で目的物を得た。NMR,IR,元素分析により確認した。 3.培養細胞系にチオアミドを添加すると酸素存在下の照射では生存率が無添加に比べて増大して、防護作用が認められた。また、酸素非存在下では、増感効果も防護効果も示さなかった。一方、トリアゾール環にニトロ基を導入すると、酸素非存在下において放射線増感作用を示した。平成元年度は、チオール,チオケトン,およびチオリン酸などの含硫黄新規防護剤を合成し、防護作用を検討する。
|