1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 文郎 京都大学, 薬学部, 教授 (80040327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 圭 京都大学, 薬学部, 助手 (50093266)
原山 尚 京都大学, 薬学部, 助手 (30025712)
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Keywords | 核酸の破損 / チミジン / チミジンブロムヒドリン / チミジンエポキシド / 核酸の修復 / クロスカップリング反応 |
Research Abstract |
DNAは遺伝情報にたずさわる重要な化合物であり,その構成成分であるチミジン類の酸化的損傷は突然変異,老化等と深くかかわっていると考えられている.チミジン類の破損と修復に関連し,以下の成果を得た. 1.生体内で生成する過酸化物等の酸化剤はチミジン等を酸化し,エポキシ体あるいはその同族体を生成すると考えられる.既に得られている1,3ージメチルチミンエポキシドに関する知見のもとに,さらに今回チミジンエポキシド(A).(B)とアミン,アミノ酸誘導体とのクロスカップリング反応を検討した.(A)からは唯一種の,(B)からは二種の成績体を得,それらの立体化学はX線解析および我々の見出した異性化反応を組み合わせる事により決定した.(A)から何故一種のみ成績体しか得られない理由は不明であるが,少なくとも5位の水酸基が関与していない事は明らかにした. 1. 最近ハロパーオキシダーゼがチミン類を酸化しハロヒドリン体等を生成する事が明らかにされた.一方前述の研究に関連し1,3ージメチルチミンブロムヒドリンがシスティン,アスコルビン酸等で1,3ージメチルチミンに修復される事を見出した.本反応を種々検討した結果,熱や光のみで修復反応が進行し,さらに本反応はラジカル機構で進行している事を明らかにした.同様の修復反応はチミンブロムヒドリン,チミジンブロムヒドリン(A),(B)でも起こる事が明らかとなった. 以上生体内におけるチミジン類の酸化的損傷およびこれに伴う生体内求核剤によるクロスカップリング反応のみならず,酸化的に損傷を受けたチミジン類の正常チミジン類への修復に関する有用な知見を得た.これらの反応はチミジン固有の構造と機能に由来するものと考えられ,チミジンが生体内における損傷と修復に関して重要な役割をはたしている可能性を示している.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] TAKASHI HARAYAMA他: Biochem Biophs.Res.Commun.,. 148. 995-1000 (1987)
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[Publications] TAKASHI HARAYAMA他: Nucleic Acids Symposium Series. 19. 107-110 (1988)
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[Publications] TAKASHI HARAYAMA他: J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. (1988)