1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470150
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 泰 東北大学, 工学部, 教授 (60005858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃山 修 東北大学, 工学部, 助教授 (70005479)
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Keywords | 核燃料再処理 / 高レベル廃棄物 / アクチノイド / ネプツニウム / アメリシウム / ジイソデシルリン酸 / アシルピラゾロン / 溶媒抽出 |
Research Abstract |
使用済核燃料の再処理に現在用いられているTBP溶媒抽出法(ピュレックス法は、超長半減期核種を含む超ウラン元素(特にNpとAm)を燃料及び廃棄物からうまく分離できないという欠点を持っている。これを解決するために,より優れた溶媒抽出法を開発することが本研究の目的である。本研究の成果は以下の通りである。 (1)既存抽出系の調査を行い,その総合的な評価を行った。対象としたうち特に酸性有機リン化合物抽出剤,中性有機リン化合物抽出剤,キレ-ト(βジケトン)抽出剤が,本研究の目的に対して検討に値するとの評価結果を得た。 (2)酸性有機リン化合物であるジイソデシルリン酸は,弱酸性で3価アクチノイドを有効に抽出し,高レベル廃棄物中のアクチノイドの分離が可能である。そこで本試薬のNp(V)抽出に対する有効性を評価するため,酸濃度,Np濃度,共存不純物濃度の影響及び共存還元剤の効果を調べた。この結果,本抽出系は高レベル廃液からのNpの分離に十分適用できることが確認できた。 (3)アシルピラゾロンは,キレ-ト抽出剤のうちでは,もっとも酸性側で種々の金属を抽出する。そこで数種のアシルピラゾロンを合成しAm(III)、Np(V)に対する抽出性能を調べた。この結果アシル基の置換基を変えることによる抽出力の改善には限度があることが判明した。そこで更に酸性側での抽出を期待して,アシル基の代わりにホスホリル基をピラゾ-ル環に導入することを試みた。合成により得られた化合物はアシルピラゾロンより酸性側でAmを抽出するが,化合物の分析の結果,これは目的化合物の加水分解生成物であるジフェニルホスホン酸であること(すなわち得られた化合物は酸性有機リン化合物であること)が判明し、ホスホリル基の導入はできないことがわかった。
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[Publications] 久保田益充他: "高レベル廃液からの超ウラン元素の抽出分離に関する基礎研究-抽出剤の調査と分類-" JAERI-M. 88-002. (1988)
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[Publications] 栃山修他: "The Extraction of Neptunium(V) by Methyltrioctylammonium Chloride and 1-Phenyl-3-methyl-4-benzoyl-5-pyrazolone." Solvent Extr.Ion Exch.7. 289-314 (1989)
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[Publications] 井上泰: "協同効果を利用したピラゾロン誘導体によるAm(III)の溶媒抽出" 第31回放射化学討論会講演予稿集. 202-203 (1987)
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[Publications] 森田泰治他: "Influence of Monoisodecyl Phosphoric Acid on Extraction of Neptunium with Diisodecyl Phosphoric Acid." J.Nucl.Sci.Tech.26. 698-704 (1989)