1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小関 治男 京都大学, 理学部, 教授 (50028106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 八郎 京都大学, 理学部, 助教授 (20028195)
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Keywords | ゼニゴケ葉緑体 / 転写単位 / RNAプロセッシング / 順序的スプライシング / トランス.スプライシング / 葉緑体遺伝子の発現 |
Research Abstract |
(1) 昨年度にひきつづき、ゼニゴケ葉緑体のLysーtRNAに含まれるイントロン領域が、大腸菌内でスプライシングにより除去されるかどうかを検討した。スプライシングが起ればサプレッサーとして活性が発現されるように、LysーtRNAのアンチュドンを人工的に改変してアンバー型とし、またそれと同時に,イントロ内部のEBS領域をこれと相補的な配列に改変した株を作成した。しかしながら、結果はネガティブであり、大腸菌内での葉緑体イントロンのスプライシングは起きないことを示唆している。なお、最近カビ類のミトコンドリアなどで、アミノアシルtRNA合成酵素がスプライシングに関与しているという報告もあり、葉緑体内のスプライシングには、大腸菌にはないようななんらかのタンパク質因子が関与しているもと結論した。 (2) トランスの位置に遠く離れて分離されているrps12遺伝子については、葉緑体内のRNAの解析から、それぞれの部分に対応する転写産物が別々のRNA分子として検討され、さらにそれらのエキソン部分が結合したRNAも検出された。これらのRNAの解析から、トランス・スプライシングの過程が明らかにされた。 (3) さらに、葉緑体内のRNAの解析は、連鎖した遺伝子群がまとめて1本のRNAに転写され、RNAプロセッシングによってそれぞれのmRNAとなること、また遺伝子に2個のイントロンがあれば、上流のものからスプライシングによって除去される傾向にあることなどが明らかにされた。 (4) これらの研究から、われわれが全DNA塩基配列を決定し、それに基づいて推定してきた遺伝子、イントロン、転写単位等が、葉緑体内で実際にRNAとして転写され、RNA段階でのプロセッシングやスプライシングによってmRNAとして発現していることが確認された。
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[Publications] K.Ohyama;et: J.Mol.Biol.203. 281-298 (1988)
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[Publications] K.Umesono;et al.: J.Mol.Biol.203. 299-331 (1988)
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[Publications] H.Fukuzawa;et al.: J.Mol.Biol.203. 333-351 (1988)
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[Publications] T.Kohchi;et al.: J.Mol.Biol.203. 353-372 (1988)
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[Publications] T.Kohchi;et al.: Curr.Genet.14. 147-154 (1988)
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[Publications] T.Kohchi;et al.: Nucleic Acids Res.16. 10025-10036 (1988)