1988 Fiscal Year Annual Research Report
植生遷移における種の出現・交代・消失機構に関する生態生理学的研究
Project/Area Number |
62480005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩城 英夫 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60114039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40191738)
及川 武久 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (70011682)
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Keywords | 植生遷移 / 光環境 / 成長 / 発芽 / 休眠 |
Research Abstract |
1 ネムノキの種子発芽における裸地検出機構を室内実験および野外実験により検討した。室内実験によりネムノキの硬皮休眠は50-80℃の高温にさらされると解除されること。非休眠種子の発芽の最適温度域は25-30℃であることが明らかになった。初夏に裸地地表面におかれた50個の種子の種皮表面温度を連続的に記録したところ、裸地では実際に種子が硬皮休眠の解除に適した温度を経験することが示された。また、ネムノキの種子を裸地とマツ林に播種して発芽を比較したところ、裸地でのみ高率の発芽が認められた。実験室で発芽させた実生を裸地とマツ林に植えてその生存と成長を比較した。マツ林では、林内・やや明るい林縁部のいずれでも、ネムノキの実生の生存率はきわめて低く、また、生育期を通じてのバイオマス成長のRGRがややマイナスとなった。これに対して裸地では、ほとんどの個体が生き残り、良好な成長を示した。 2 跡地遷移の初期相に出現し、「発芽における裸地検出機構」の存在が確認された木本先駆種、ヌルデ、アカメガシワ、クロマツおよびアカマツの実生を裸地およびアカマツ林内に植えて、光・温度などの詳しい環境測定およびその生存と成長を比較した。アカマツ林に播種したクロマツおよびアカマツ実生は播種跡2ケ月以内にすべてが死に、裸地でのみ生存と良好な成長を示した。ヌルデとアカメガシワのアカマツ林内での死亡率も非常に高く、辛うじて生き残ったものもそのバイオマス生産はマイナスであった。これに対して裸地では両種とも非常に良好な生残・成長を示した。 これらの研究成果により、跡地遷移の初期相に出現する木本樹種の種子発芽における裸地検出機構の適応意義が確認された。
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[Publications] Izumi,Washitani: Annals of Botany. 62. 13-16 (1988)
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[Publications] Yan-Hong,Tang: Ecological Research. 3. 253-266 (1988)