1989 Fiscal Year Annual Research Report
植生遷移における種の出現・交代・消失機構に関する生態生理学的研究
Project/Area Number |
62480005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩城 英夫 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60114039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40191738)
及川 武久 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (70011682)
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Keywords | 遷移 / 稚樹 / ミクロサイト / 光条件 / 成長 / 発芽 |
Research Abstract |
1.アカマツ林およびススキ群落内の光条件の異なる多数のミクロサイトにコナラの実生を植え、定期的にその直上における曇天時の相対PPFDを測定した。8月と10月には実生をサンプリングし、実生の成長のミクロサイトの光利用性への依存性を回帰によって分析した。実生のバイオマス相対成長率は実生のおかれたミクロサイトの光条件に大きく依存すること、成長率が正になるためには、夏期に4%以上の曇天時相対PPFD測定値を与える光条件が必要であることが示された。これらの結果およびアカマツ林ならびにススキ群落内の光利用性の空間的不均一性の詳しい測定結果にもとづき、コナラ実生の生育を許すミクロサイトの存在頻度をそれぞれのハビタットについて推定した。 2.跡地遷移の初期相に出現し、「発芽における裸地検出機構」の存在が確認された木本先駆種、ヌルデ、アカメガシワ、アカマツを裸地およびアカマツ林内に植えて、生存、成長、食害の程度などを比較した。アカマツ林の光条件の悪いミクロサイトでは、いずれも死亡率が高く、アカマツとヌルデではそのようなミクロサイトでは夏までに生存個体が0となった。いずれの樹種も裸地で生存率が高く、また相対成長率も大きかった。これらの結果から「種子発芽における裸地検出機構」の適応的意義が確認された。
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[Publications] Tang,Y.H.: "Spatial heterogeneity of photosynthetic photon flux density in the canopy of Miscanthus sinensis(Anderss)" Ecological Research. 4. 339-349 (1989)
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[Publications] Tsuchiya,T.: "Growth and life span of Nelumbo nucifera Gaertn.leaves in lake Kasumigaura,Japan." Aquatic Botany. 36. 87-95 (1989)
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[Publications] 荒巻稔: "霞ケ浦高浜入におけるコウホネの沈水葉の光合成特性" 日本生態学会誌. 39. 189-193 (1989)