1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山名 清隆 九州大学, 理学部, 教授 (20037162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 一也 九州大学, 理学部, 助手 (30150395)
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Keywords | 両生類胚 / 調整 / 調節 / アフリカツメガエル / 中軸器官 / 欠損胚 |
Research Abstract |
アフリカツメガエル胚における調整(調節)、特に中軸器官(神経管脊索、体節)の調整を研究するため、8細胞胚から動物半球および植物半球の右背側細胞を除去し、得られた欠損胚を対照が尾芽胚になるまで発生させた。 欠損胚から生じた胚の80%は、正常あるいは正常に近い形の胚に発生した。これらの胚の右半分は、左半分と同様に正常であり、発生過程にも異常は認められなかった。すなわち、外観に関するかぎり調整はほぼ完全であるようにみえた。 さらに、得られた正常胚の連続切片を観察した結果から、胚の内部構造も正常であることが分かった。ただし中軸器官のなかから脊索と体節を選んで、それらの細胞数をかぞえたところ、前者の細胞数は対照胚のそれの約70%であり、後者のそれは約90%であった。このように、脊索の回復の度合は著しく低いことが明らかになった。 この欠損胚の右腹側細胞あるいは左背側細胞をテトラメチルローダミンイソシアネイトで染色し、それらの子孫細胞を発生過程を追って追跡し、さらに尾芽胚期に連続切片を作製してそれらの分布を調べた。その結果、次のことが明らかになった。まず脊索についていうと、本来脊索をつくるべき背側細胞の数が半分に減っているこの欠損胚においても、腹側細胞が脊索形成に貢献することはない。このため、脊索細胞数が十分に回復しないのである。他方、正常発生においては、体節は背側細胞と腹側細胞によって半分ずつつくられるのであるが、この欠損胚では背側細胞がつくるべき部分の体節も腹側細胞がつくることによって、体節は細胞数の点でもほぼ完全に回復した。 調整が外見的に完全であるようにみえても、細胞数のレベルでは必ずしもそうではなく、調整の度合いは組織・器官によって異なる。
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