1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480025
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
上野 輝彌 国立科学博物館, 地学研究部古生物第三研究室, 室長 (50060801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 善和 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (90000124)
植村 和彦 国立科学博物館, 地学研究部古生物第一研究室, 研究官 (50000138)
小野 慶一 国立科学博物館, 地学研究部古生物第三研究室, 研究官 (80110104)
冨田 幸光 国立科学博物館, 地学研究部古生物第三研究室, 研究官 (00150029)
|
Keywords | 日本列島 / 第三紀 / 脊椎動物相の変遷 / 化石資料データベース / 植物化石 / 時空分布 / 変遷のパターン |
Research Abstract |
昭和62年度に引き続き、日本列島形成中の新生代第三紀における本邦の脊椎動物相がどこに由来し、どのような変遷を経てきたかを明らかにするべく研究を行った。その最も基礎的作業として、これまで欠如していた精密な比較骨学的資料の作成を行い、初年度に購入したSOFTEX CMB特型軟X線発生装置を用い、これまでほとんど不可能であった中型の板鰓類、硬骨魚類、両生類、鳥類等の骨格に関する諸データを非破壊的に得て蓄積する作業を行った結果約80科170種の資料を作成した。これらのデータを用いて北海道網走支庁の中新世中期常呂層の約1500万年前の地層から採集されたアカガレイ属の化石が新種であることが判明しトコロガレイと名付けて日本魚類学会において報告し、論文に記載を行ったまた埼玉県秩父近郊の川本町を流れる荒川の河床(中新世中期)より採集されたホホジロザメ属カルカロドン・メガロドンの同一個体に属する73個の歯を調査し、その歯列解析を行って古生物学会にて報告し、論文とした。この研究により、世界的にも初めてこの巨大化石鮫の歯の歯列解析が可能となり第三紀におけるネズミザメ科の起源と変遷、解明が容易になった。脊椎動物化石資料データベースの入力作業は完成し、印刷可能な段階に到達した。北海道における第三紀層化石の調査採集は特に三笠、北見地方において(白亜紀後期および漸新地)効果があり、新しい資料を入手することができた。北九州、鹿児島、種ケ島における調査ではかなり大量の魚類および植物化石が採集された。これらの標本により日本列島全体における脊椎動物相変遷の重要な断面を理解することができた。 二年間にわたる集中的な調査結果は、本邦古脊椎動物の時空分布の表としてまとめ第三紀におる変遷のパターンのいくつかとともに発表する予定である。
|
-
[Publications] SAKAMOTO,Kazuo/UYENO,Teruya: Bulletin of National Science Museum,Tokyo,Ser.C. 14. 135-142 (1988)
-
[Publications] 上野輝彌、坂本治、関根浩史: 埼玉県立自然史博物館研究報告. 7. 73-85 (1989)
-
[Publications] SAKAMOTO,Kazuo/UYENO,Teruya: Bulletin of National Science Museum,Tokyo,Ser.C. 15. (1989)
-
[Publications] TOMIDA,Yukimitsu/SAKURA,Hajime: National Science Museum,Tokyo. 1-143 (1988)
-
[Publications] ONO,Keiichi: Bulletin of National Science Museum,Tokyo,Ser.C. 15. 35-40 (1989)
-
[Publications] 長谷川善和、冨田幸光、甲能直樹、小野慶一、野苅家宏、上野輝彌: 国立科学博物館専報. 21. 17-36 (1988)