1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長戸 康郎 東北大学, 農学部, 助教授 (10143413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 元吉 東京大学, 農学部, 教授 (90134501)
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Keywords | 胚発生 / 不定胚発生 / 器官分化 / 胚培養 / 突然変異 |
Research Abstract |
現在, イネの初期胚を培養する試みはほとんど行われていない. そこで, 形態的合化開始頃(胚長約200μm)の胚を培養する為の培地条件の検討を行った. MS基本培地に生長調節物質としてIAA及びカイネチンを種々の濃度で組合わせた培地上での胚の発育を調査した. その結果, IAA, カイネチンともに10D1-5D2M以上の高濃度では胚がスルス化したり, 不定形の細胞塊になり正常な器官分化は見られなかった. 低濃度(10^<-7>M)のIAAは胚盤の発育を促進するが, shootの発育を抑制する効果があった. 低濃度(10D1-6〜-7D1M)のカイネチンはshootの発育を促進する効果をもち, 10^<-7>Mのカイネチンのみを含むMS培地において最小の胚(180μm)の培養が可能であった. 従って, カイネチンを試濃度で含むMS培地を用いることにより胚長200μm前後の胚の培養は可能であると考えられる. マンピュレーターを使用することによりそれ以前の胚の摘出は可能であるが, 現在のところ培地上での正常な器官分化は観察されていない. しかし, 胚の形態的分化以前に細胞分化が既に始まっているはずであり, 今後は更に初期の胚を培養する為の培地条件の検討が必要である. また, 胚発生における器官分化突然変異系統の検出を行い,新たに10系統の突然変異系統が得られた. それらは, ごく初期の発育停止し器官分化の全く認められないもの,器官分化は認められないが胚自体はかなり大きくなるもの,器官分化は見られるが,ごく,初期に分化が停止するもの,根に分化は認められるが,shootは分化が見られないものなどである. これらを材料とすることにより, 器官合化の遺伝的調節機構の解明が可能となろう. 薬の形態異常を示す胚からカルスを作り,現在カルスからの再分化及びカルス中のタクパクについて解析中である. なお現在,上記カルスからの再分化には成功していない.
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